田中克己「2020年のIT企業」

後継者問題を解決する社長交代の最適な時期

田中克己 2016年05月27日 07時30分

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 創業から20年から30年が経過し、60歳を超えた創業者は、誰にいつバトンを渡すのか悩んでいることだろう。託したいのは、自身とは異なる次世代のビジネスを志向できる人物。役員や息子など社内に候補者がいなければ、外部から採用する。そんな後継者問題に、頭を痛める受託ソフト開発会社の経営者は少なくない。

創業18年のシステムエグゼ、佐藤会長の決断

 創業18年になるシステムエグゼの佐藤勝康氏は、そんな1人だった。創業者の同氏は約1年前に経営の一線から退くことを決め、その通り1月に代表取締役社長から取締役でもない会長になる。新社長に就いたのは、入社8年の酒井博文副社長である。

 3人でスタートした同社は、社員500人弱、売上高約66億円の規模に成長する。創業以来、黒字経営を継続しているものの、佐藤会長は先行きを懸念し始める。「創業社長に意見が言いづらくなり、私の考えがすべてになってしまうこと」。まずいと思った佐藤会長も60歳を過ぎて、守りの経営になる。そんな佐藤氏の発言に異を唱える役員、社員がいなくなれば、システムエグゼの成長を停滞させることになる。

 55歳頃から、そんなことを感じ始めた佐藤会長は、バトンタッチに向けた課題の解決に着手した。1つは、連帯保証人の問題。一括請負を展開する受託ソフト開発会社の経営者は、金融機関から担保として連帯保証を求められる。顧客からの支払いは納品後になるが、パートナー企業への支払いは納品前になる。この間の資金繰りが必要になる。

 案件が大きいほど調達する資金が増え、この負債の引き継ぎに躊躇する役員らはいるだろう。そこで、2004年から不動産事業に乗り出し、数千万円から数億円のオフィスを取得した。結果、社長個人が連帯保証人になることはなくなったという。

 もう1つは、社員を株主にすること。経営を透明にし、成長の一端を担ってもらうためだろう。社員・役員の持ち株比率は約60%で、80人弱の社員が株主になっている。ちなみに佐藤氏の保有率は22%。持ち株制度は増資した約15年前から始めており、資本金は創業時の1000万円から5億円弱になる。「大きな案件を獲得するうえで、この程度の資本金があったほうがいい」(佐藤会長)。

 そして、3月に65歳になった佐藤会長は、自ら規定した役員定年65歳にしたがって、1月に退任し、「サポートに徹することにした」。

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