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研究現場から見たAI

深層学習とニューラルネットワークの仕組み--AIブームを冷静に論じる - (page 3)

松田雄馬

2016-05-27 07:00

ニューラルネットワーク研究の歴史

 以上の仕組みを使って、「学習」の精度を高めていったのが、ニューラルネットワーク研究の歴史である。ニューラルネットワーク研究は、これまで、3回のブームを経験しており、そのそれぞれで、現在の「人工知能ブーム」のように、人智を超える機械の登場への期待と不安が入り混じっていたと言われている。

 ここでは、ニューラルネットワークの行う「学習」というものが一体どのようなものなのかについて、特に重点的に、概念的に説明するので、それがわれわれ人間の「学習」と何が類似していて、何が異なるのかを注意深く見ていただきたい。

 まず、最初のブームは、1958年に米国の心理学者Frank Rosenblatt氏が「パーセプトロン」という名のニューラルネットワークを発明したことに端を発する。

 Rosenblattらが発明したパーセプトロンとは、線形識別関数により、入力されたデータを2クラスに分類するというものである。図4を用いて説明すると、リンゴの画像とミカンの画像を「入力層」に入力し、その2種類の画像が異なるものであることを「学習」すると、新たな画像が入力されたときに、その画像がリンゴであるか、ミカンであるかを「予測」することができるというものである。

(図4)
図4

 このパーセプトロンの動作を、極々単純な例を用いて表すとすると図5を用いて説明できる。まず、リンゴ画像を「入力層」に入力するとする。例えば、画像内の画素1つ1つの情報を、入力層の「ニューロン」に写すという方法がよく行われる。カラー画像だとわかりにくいので、一旦白黒にして、白い画素を「発火ニューロン」として、黒い画素を「非発火ニューロン」として扱うといった方法がよく採用される。

 そして、さまざまなリンゴ画像に対して、図5(a)のように、あるニューロンが必ず「発火」していたとする。すると、入力層のそのニューロンと、出力層のある1つのニューロンをつないで「リンゴ細胞」とすれば、リンゴ画像が入力されれば、必ずその「リンゴ細胞」が出力されることになる。

図5(a)
図5(a)

 同様の作業を図5(b)についても行うことで、今度は「ミカン細胞」を作ることができる。実際には、リンゴとミカンの差異が最も明確になるように、(線形識別関数を用いて)入出力層の間の結合を調整していくのだが、極々単純にはこのような作業を行う。

図5(b)
図5(b)

 このように説明すると、何が「人工知能」なのか疑わしいが、このパーセプトロンの重要な点は、リンゴ画像とミカン画像を与えただけで、あとは自動的に、ニューロン間の結合が決定され、リンゴとミカンの差異をニューラルネットワークが「学習」するということにある。

 すなわち、パーセプトロンは、リンゴとミカンを(あたかも)勝手に「認識」できるような動作を行うことができ、"人工知能"の実現を期待させるには十分な衝撃を世の中に与え、第一次ニューラルネットワークブームを引き起こした。

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