日立、新中期経営計画--営業利益率8%目標、社会イノベーションに継続して注力 - (page 2)

三浦優子

2016-05-19 08:00

 こうした実績を踏まえ、2018中期経営計画では、「改めて日立の強みはどこにあるか考えてみたが、グローバルで見ても、OT(Operational Technology)=制御・運用、IT=把握・分析・予測、プロダクト・システム=ハード・材料・EPC・SIとなんでもできる企業は他にない。この特徴をビジネスで生かしていく。お客さまの課題を聞き取り、従来は工場の最適化を提案していたが、これからは流通、ECまで全部つないだ最適化を提案する」と日立の特性を生かした提案を行っていく。

 社会インフラに関してもワールドワイドで、ロボティクス、アナリティクス、人工知能、セキュリティなどの要素を加味したデジタル化が進行していることから、「産業・社会インフラの再編を加速するパラダイムシフトが起こっていると認識している」との認識を示した。

 鉄道事業でも「ビルや鉄道など個々の製品を日立がデジタルでつなぎ、人の流れに応じた鉄道運営など従来とは異なる提案」を事業としていく。

 社会イノベーション分野の中での注力する4事業分野は、電力・エネルギー、産業・流通・水、アーバン、金融・公共・ヘルスケアの4事業。この4事業を、Lumada、人材も含めたフロントの強化、デジタル化に対応したプロダクトで支えていく。

 また、拠点がある地域に適して対応するため、鉄道事業が順調に拡大しているイギリスでは鉄道事業の本社機能を置いて、地域に最適なオペレーションを展開する。Lumadaを開発する北米にプラットフォーム開発の拠点を置く。

 経営基盤強化としては、経営のスピードアップ、グローバル事業の慎重、事業収益性の向上、成長事業への投資をポイントとする。特に事業収益性の向上では、前中経から進めてきた低収益事業を見極める「Hitachi Smart Transformation(スマトラ)」を進化させる。

 進化版スマトラでは、コスト構造の見直し、IT活用による生産リードタイムの短縮と棚卸資産の圧縮による運転資本の効率向上、工場間での生産設備の共用など投資、資産効率の向上などを実施する。ここでもLumada活用も進めていく。

 こうした改革で2018年度時点で、日立グループのフロント売上比率を2015年度時点の36%から40%まで拡大。売上高は3兆5969億円から4兆円、営業利益率目標は8%。事業別では、電力・エネルギーの売上は5195億円を5500億円に、産業・流通・水は7907億円を8400億円に、アーバンは1兆565億円を1兆4000億円に、金融・公共・ヘルスケアは1兆2302億円を1兆3800億円とする。

 「売り上げで見ると、大きく伸びていない事業でも、利益率を大幅に改善することを目標とする」(東原氏)

 プラットフォームの売上高は2786億円を3300億円、営業利益率の目標は11%、プロダクトは売上高が7兆3893億円から6兆8200億円、営業利益率目標は7%とする。

 海外売上比率は、2015年度の48%から55%まで拡大する計画で、「2017年度から運行が開始されるイギリスの鉄道事業など欧州の売り上げが大きく伸張する。北米でエネルギー、ヘルスケアソリューションの提供、中国では従来のプロダクト中心からソリューション販売へと中身を転換するなど売り上げの中身も変えていく」と売上拡大だけでなく、構造改革も進めていく。

4月からの組織体制(日立製作所提供)
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