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CIOがデジタル領域のトレンドに敏感でいなければならない理由 - (page 2)

高橋秀

2016-05-30 07:00

デジタル倫理を意識する:デジタルの世界での信頼


 自動運転車両が市場に参入するにあたり、避けられない車の事故が起きた時に、人命を救うプログラムの判断ロジックをどのように扱うべきか、倫理的なジレンマに陥ります。車は自律的な判断として、所有者、総合的な死者数削減、保険会社の補償の範囲やルールに則った損害の最小化のどれを優先するのでしょうか。あるいは車は自メーカーを優先し、相手の車が同じメーカーのものであった場合は損害を最小限に抑えようとするべきなのでしょうか。

 自動運転車両においては、信頼が大事であることは言うまでもありません。各メーカーが同じ優先順位基準に準拠しているのか、自動車間で適切に相互判断できるのか、また、周囲の環境、例えば道路、信号、自転車、交通法、そして市内の慣習などとどのように影響しあうのか、現時点では誰も保証できない状況です。

 こういったインフラの話は解決に時間のかかる極端な事例ですが、デジタルの世界における倫理維持については既に直面している課題として取り組む必要があります。私たちのデジタルの世界での行動は、センサやアプリケーション、職場で利用するツール、ソーシャルなどを介してデジタルフットプリント(電子証跡)として残ります。そしてそのデータ量は日々増大しています。こういった個人に紐づく情報の管理に関するリスクは回避することはできません。リスクを受け入れ、管理していく必要があります。

 アバナードの最近の調査では、経営幹部の92%が、今後の成功にはデジタル倫理のガイドラインを策定し遵守する必要がある、と答えています。しかし、実際に行動を起こしている会社はずっと少ないのが現状です。私たちの調査では、経営幹部のうち、43%だけがデジタル倫理を担当する新しい役職を作ったと回答しました。デジタル世界で倫理に対するアプローチを見直す努力をしない企業は、顧客の信頼を失うリスクがあります。

 教育用玩具などを製造・販売しているVTechの例を見てみましょう。2015年のデータ漏えいに伴い、同社は新しい契約条件を公表し、将来的な漏えいは親の責任であると明記しました。そのため、同社が責任を取るつもりがないと受け取られ、親たちの間で同社の玩具をボイコットしようという呼びかけに発展し、売り上げにも影響を及ぼしました。企業は、デジタル倫理の定着化アプローチを導入して、自社だけでも顧客だけでもなく、全ての利害関係者で責任を分担していく必要があります(出典)。

 デジタル倫理は、あったらいいもの、では済まされません。これは企業の長期的なデジタル戦略の重要要素でなくてはならず、倫理への意識が新しいデジタルエコノミクスにおいて根底にある必要があります。

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