「日本ユニシスは堅実なシステムインテグレーターだが、誰もが知るような個性に乏しいのではないか。これからどの分野で確固たる存在感を発揮していくのか。その明確なメッセージをもっと強く発信すべきではないか」というのが、先述した筆者の質問の意図である。これに対し、平岡氏は次のように答えた。
「当社はこれまでお客様の要望に対してしっかりと仕事をやり遂げてきたことで、顧客満足度において高い評価をいただいてきた。そのDNAは今後も継承していく。一方で、最近では企業や社会のデジタル化の進展に伴い、これまでのように要望に応えるだけでなく、ニーズを先取りしてさまざまな道具立てをあらかじめ用意して、素早くお客様に提案し提供することが求められてきている。そして、それが個々のお客様にとどまらず社会全体の課題解決へと広がりつつある。当社は今後、そうした社会課題の解決に向けたICT基盤を提供する会社として貢献できるようになりたい。そのために認知度向上にも一層注力し、チャレンジ領域で存在感を高めることができるように力強いメッセージを発信していく必要があると認識している」
冒頭の発言はこのコメントのエッセンスである。平岡氏も認知度向上には強い課題意識を持っているようだ。再び力強い成長軌道に乗せることができるか。同氏の経営手腕に注目しておきたい。
「標的型サイバー攻撃による脅威の検知に多くの企業が不安を募らせている」 (EMCジャパン 水村明博 RSA事業本部マーケティング部長)
EMCジャパンの水村明博 RSA事業本部マーケティング部長
EMCジャパンが先ごろ、標的型サイバー攻撃による脅威を検知するセキュリティ管理ソフトウェアの最新版「RSA Security Analytics 10.6」(RSA SA)を国内で提供開始したと発表した。水村氏の発言は、その発表会見で、同社の調査結果に基づいて標的型サイバー攻撃による脅威の検知に対する企業の受け止め方を示したものである。
RSA SAは、新たに機械学習によるリアルタイム行動分析機能を追加し、標的型サイバー攻撃を早期に検知する能力を向上させたという。詳しい内容は関連記事を参照いただくとして、ここではEMCがこの最新版を投入した背景について紹介しておこう。
標的型サイバー攻撃では、社内の多数のPCが攻撃者の制御下に置かれていたり、企業の情報資産が不正に外部へ送信されたことを、数カ月から数年も気づかないといった事案が多く見受けられる。攻撃による被害を最小化するには、侵入したマルウェアが活動を開始する前に見つけ出して施策を展開することが望まれる。
しかし、とくに攻撃の初期段階では不審な行動の判定が難しく、その結果、侵入されたPCが足がかりとなって、組織内のPCのマルウェア感染がさらに拡大して遠隔操作できるPCが増えたり、C&C(Command & Control)活動と呼ばれる外部への通信を長期間に渡って見逃したりすることで被害が生じてしまうという。
こうした状況から、水村氏は同社の調査結果に基づいて「標的型サイバー攻撃による脅威の検知や調査に対し、24%の企業しか満足しておらず、76%が不安を募らせている」と説明した。冒頭の発言はこのコメントのエッセンスである。
標的型サイバー攻撃はますます巧妙になってきており、企業にとっては対策が難しくなりばかりだ。今回のRSA SAのように、もし侵入されたとしても早期に検知して対策を講じることができるツールが増えてくるのは間違いなさそうだ。