「SuiteWorld 16」が開幕、20年前は誰も信じなかったクラウドERPが今急成長 - (page 2)

谷川耕一

2016-05-20 17:37

ハイブリッドビジネスモデルの複雑な請求処理を一元化するSuiteBilling

 5年以内に登場したようなスタートアップ企業であれば、NetSuiteを活用しクラウドで俊敏性のあるビジネスを行うのは難しくない。しかし規模の大きな伝統的な企業が、クラウドエコノミー体制に移行するのはそう簡単ではない。そういった会社が機敏に動けるようにするための手伝いをしているのが、NetSuiteだとNelson氏は言う。

 例えば、伝統的な会社では「製品」を持っていてそれを販売する。さらに「サービス」を提供して対価を得る場合もある。それに加え、最近のクラウドエコノミーでは「As a Service」の形でサブスクリプション型のビジネスも必要になる。つまり伝統的な企業では、この3つのビジネスモデルすべてをサポートできなければならない。

 3つのビジネスモデルをハイブリッドの形で運用するとなると、複雑な請求処理が必要になる。ビジネスモデルごとに請求処理の仕組みを持っていたのでは、クラウド時代に求められるような迅速な経営もままならない。そこでNetSuiteでは、新たな請求処理のシステムを提供することにした。それが今回のイベントのタイミングで発表された「SuiteBilling」だ。


サブスクリプションや四半期請求などが含まれる複雑な請求も統合できる

 例えば、サブスクリプションの形で契約するプロジェクトでは毎月請求書を発行する。一方で別のプロジェクトは四半期に1度の請求となるものもある。同じ会社に対する請求でこれらが混在する際にも、効率的に請求業務を行えるかは企業にとっては大きな課題だ。

 毎月のサブスクリプションの契約では、途中でサービスを追加することもある。この場合、既存サービスと新しく契約するサービスで、サブスクリプション契約の開始日が違うことになる。その上で、請求は1本に集約できるか。追加契約分は、日割りにして月内に請求する場合もあるだろう。締め日に間に合わなければ、その分を翌月の請求に追加し請求することになる。それらをルールに従って自動で管理できるのがSuiteBillingだ。顧客によって請求の形を柔軟に変えることができる。サブスクリプションや四半期請求などが含まれる複雑な請求であっても、1つの会社に対しては1本の請求に統合できるのだ。

 このようにSuiteBillingでは、すべてのビジネスモデルを統合して請求管理できる。請求を統合的に管理することで、売上計上のタイミングなどを明確化できる。このSuiteBillingを利用することで、2018年に変更される国際的な売上認識の新しいルールにも対応できる。

 「製品、サービスがあって、サブスクリプション型の『As a Service』があるというハイブリッドビジネスモデルは、今後さらに進展していくでしょう」とNelson氏。こういった新しいビジネスモデルにクラウドで迅速に対応できることが、同社のビジネスが成長している1つの理由となっているのだろう。

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