新中計でセイコーエプソンが狙うもの(中編)--自らの強みにフォーカス - (page 2)

大河原克行

2016-05-29 08:00

 「情報技術の進展により、あらゆる情報がインターネット上でつながるようになることで、サイバー空間はとどまることなく増大している。そして、このサイバー空間には、そこでのビジネスを得意とする多くのIT企業がいる。一方で、エプソンはどういう会社か、あるいはどんな人たちが働いているのかということを考えたとき、残念ながら、そうした分野は得意ではない。サイバー空間の市場に入っていっても、競争に負けてしまうのは明らかである」

 「だが、リアル世界にいる顧客にとっては、サイバー空間との接点となる製品が重要となる。エプソンはリアル世界で実体のある究極のものづくり企業として、先鋭化した製品を求心力に、サイバー空間を得意とするIT企業の持つリソースを活用しながら、人やモノと情報をつなぎ、顧客にスマート、環境、パフォーマンスといった省・小・精の価値をより高めて提供することになる」

 これも自らの強みにフォーカスするという基本姿勢の表れだといえる。

2025年に向けた成長の方向性(セイコーエプソン提供)
2025年に向けた成長の方向性(セイコーエプソン提供)

製紙機「PaperLab」を複写機サイズに

 Epson 25では、プリンティング、ビジュアルコミュニケーション、ウェアラブル、ロボティクス、マイクロデバイスの5つの領域に取り組む姿勢を明らかにしている。

 プリンティング領域では、「独創のマイクロピエゾ技術を磨き上げ、より高生産性領域へ飛躍する。また、高い環境性能と、循環型の印刷環境をお客さまへ提供する」をビジョンとし、まずは、オフィス市場向けの製品投入で高速ラインヘッド技術を極めることを宣言。レーザープリンタを凌駕する品質、耐久性、メンテナンス性と低プリントコストを実現し、小型および高生産性機種のラインアップを確立するという。

 さらに、レーザープリンタをインクジェットプリンタで置き換えるとともに、電子写真方式の既存の複写機もラインインクジェットによる超高速コピー機で置き換える方針も打ち出した。また、小型インクジェットプリンタに、オフィス内で紙を再生する製紙機「PaperLab」を組み合わせることで、オフィスで印刷した紙を循環させる環境を実現するという。2020年には、複写機と同等規模のサイズまでPaperLabを小型化する予定だ。

 産業分野では、インク対応や高速メディア搬送機構など要素技術の開発を強化。従来のアナログ印刷に比べて、生産性と価格のバランス、高い環境性能などで優位性を持つ製品ラインアップを拡充することで市場全体のデジタル化を加速させるという。

 「オフィス分野、産業分野、商業分野など、あらゆる分野でインクジェットイノベーションを実現する」というのがプリンティング領域での基本姿勢だ。

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