VMwareはEMCに買収されていたにもかかわらず、EMCと競合するNetAppと提携したように、今後も独自にパートナー関係を追求できるということを市場に確信してもらえるよう、VMwareの従業員は世界のさまざまな地域と国レベルで取り組んでいく責務を負っているとGelsinger氏は指摘した。
同氏は「これが、今後も続くわれわれの取り組みへの姿勢であり、買収が完了した後も数四半期かけて証明していかなければならないことだ」と述べた。
しかしNg氏によると、この分野の顧客の間で、Dellの強みはインフラおよびハードウェアだとされている点に対する懸念があったという。一方、EMCと、その企業連合に名を連ねているVMwareやPivotalは、Dellに比べると「ソリューション」に注力しており、業務要求の実現に向けて取り組んでいるため、この部分が企業によりアピールするとNg氏はコメントした。
こういった点により、買収企業であるDellが、業務要求の実現に取り組むサービスの提供よりも、ハードウェアの販売に力を入れるようになるのではないかという懸念が生じているとNg氏は説明した。同氏によると、ソリューションプロバイダーの方が歓迎されるという現実に目を向け、DellとEMCは顧客に対して明確なメッセージを伝える必要があるという。
そのうえでDellは合併後の企業としての、市場に打って出るための戦略と、メッセージを生み出す必要があるだろうと同氏は付け加えた。
スピンオフの計画はない
VMwareは独立した運営を継続するかもしれないが、同社をスピンオフさせ、DellとEMCの統合後の新会社(Dell Technologiesという名前になる)の企業向け部門として編入するような計画はないという。
VMwareの取締役会でスピンオフを検討したかどうかを問われたGelsinger氏は、「もちろん検討した。だが、結論は言うまでもなくノーだった。取締役会でスピンオフを選択することももちろん可能だったが、(中略)スピンオフで生み出される利益に対しては税金を支払う必要があり、その税額は(株主が負担するには)大きすぎるものとなるはずだ」と答えた。
また同氏は、合併による相乗効果は10億ドルに上るとDellが述べていた点を指摘し、VMwareがスピンアウトすれば、そうした相乗効果が薄れるとも付け加えた。
さらに同氏は「今は激動の時代でもある」と述べ、現在テクノロジ分野のトップを占める企業100社のうち、10年後に残っているのは半数だとも述べ、「多くの企業が姿を消すだろう。(しかし)VMwareは10年後も健在だ。誰もわれわれを買収できない。われわれは、今後も成長を続ける見込みが高い大手テクノロジ企業の1つだ。われわれは安定した状況にあり(中略)、こういったことを言える企業はそう多くない」と続けた。