データセンターの現場から

データセンター省エネのポイント--DCIMの有効性を解説 - (page 3)

伊藤久(アット東京CTO)

2016-05-25 07:00

 以下は実際にアット東京で、当時の設備運用担当者が抱えていた課題である。

  • システムに取り込むセンサ数は、構築費用に比例するため投資費用の関係から、最小数に制限されたため計測範囲は限定的な物であった
  • 現場に設置してあるメータには伝送機能がないため、巡視時の記録を基に手作業で集計を行わなければならなかった
  • 詳細な計測値の常時保管期間は半年間程度となり、それ以上長期間の計測値については、傾向を大まかに確認するだけを目的として、間引かれた値しか保管できなかった
  • 計測値を伝送するシステムがアナログ伝送方式(4~20mA、0~5Vのアナログインターフェース)のため、20A回路の計測も600A回路の計測も比例値での伝送になり、大電流・高電圧の計測ほど、誤差が大きくなってしまった
  • 原因が分からない不具合を調査するためには、各システムからデータをその都度ダウンロードして時刻合わせをする必要があり、分析するにも非常に手間がかかった

 一方、コロケーションサービスを利用するお客さまの中には、上記システムとは別にお客さま独自で環境監視システムを持ちたいとの要望があった場合には、お客さま専用の計測システムを構築していた。

 例えばアット東京をご利用のお客さまの場合を例にとってみると、以下のような要望があった。

  • コンピュータ室内の機器だけでなく、コロケーションサービスを提供するための設備(空調機・UPS・EG等)状態も確認したい
  • お客さま所有の監視システムと連携したい
  • 顧客ごとに、情報提供するデータの閲覧範囲を制限したい
  • 現在の状態だけでなく、一週間前、一か月前、一年前等の状態も確認したい
  • 閾値越えをした時には、メールにて連絡が欲しい


 このように、計測個所だけでなく、システムの構築、運用に関する要望も多岐にわたり、情報セキュリティなどを考慮すると中央監視システムだけを活用してお客さまの要望を応えるには限界があった。


 また、データ一元化するためにシステム間を連携する当たっては、システムベンダー独自の通信プロトコルが使われておりかつ仕様が公開されていないため、他社システムとは情報連携できなかったことや、汎用プロトコルを使用しているパッケージソフトについても、細かい部分で差異があり、他社システムとの連携についてサポートされていないなど課題があった。

 つまり、システム間連携をする際は、汎用プロトコルを使用しても構築する際に事前検証と現場確認が必須であり、時間と労力をかけるか連携を断念せざるを得ない状況にあった。

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