DCIMの利用
DCIMの利用に当たっては、設備システムを知らないお客様とコンピュータシステムに不慣れな設備運用担当者も、双方同じ画面を見ながらコンピュータ室の状況やデータセンターの設備運転状況について、相互で確認や意見交換ができることが理想である。そのため設備システムとコンピュータシステムの融合体としてDCIMを利用できるような運用を当社では行っている。
また昨今のお客様においては、システム運用担当部門でも設備関連業務を担当する方が増えているため、設備系の情報が簡単に把握できることが重要であり、そうすることでお客様とデータセンター設備運用担当者の双方にとって、それぞれにメリットのある利用が可能となる。
以下はDCIM利用よって実現可能な項目例を挙げてみる。
お客様で利用する場合
- コンピュータ室の環境見える化
- 空調機運転状況とサーバ室環境の相関分析
- サーバラックに対しての吸込温度(Return air)・吹出温度(Supply air)の管理
- PDUやサーバラックでの電流負荷管理や熱分布管理
- サーバラック扉開閉監視・メール通報
データセンター設備運用担当者で利用する場合
- 各種データの遠隔計量・検針
- 各種のエネルギー使用量の管理および分析
- サーバラックやPDU・UPSのキャパシティ管理
- PUE計算・EG可能運転時間予測
- 風量管理のための空調用ファンの回転数管理
- 各種報告書の作成
このように、DCIMを活用すれば、システム運用担当部門と設備運用担当部門が「共同」で、「全体最適を図ることで、効率的な運用ができるデータセンター」となるのである。
さて、本連載は第1回ではデータセンターの省エネ、今回の第2回ではDCIM、について解説させていただいた。最終回である次回はデータセンターを選択する際に、気を付けたいポイントについて述べたいと思う。
- 伊藤 久(いとう ひさし)
- アット東京 常務執行役員、最高技術責任者(CTO)
- 1982年4月、東京電力株式会社入社。2000年6月、株式会社アット東京発足に伴い出向、データセンターの設計・構築運用の技術責任者となり、現在に至る。現在アット東京が運営している全てのセンターにおいて、データセンター本体の建設だけでなく、顧客のコンピュータ室利用の提案から設計・構築・最終動作確認・運用までの技術方の責任者を務める。また、顧客がデータセンターを利用する段階になった後も、省エネを含めた運用を多数提案している。