以下は、2020年のサイバーセキュリティにおいて、どのような問題が出てくるのかを判断するうえでの興味深い疑問だ。
- あらゆるものがオンライン化され、オンラインセキュリティと個人のセキュリティが危険にさらされるようになる世界では、個人はどのような行動を採るのか?
- さまざまな電化製品や自動車、機器のネットワーク化が進むなか、「安全な」社会という言葉はどのような意味を持つようになるのか?
- 想像もできないくらいパワフルなアルゴリズムによって、個人の行動が逐一予測できるようになると、どういった事態が起こるのか?
CLTCが描く2020年の5つのシナリオ
CLTCの研究者チームは、2020年におけるサイバーセキュリティのシナリオとして以下の5つを挙げている。
シナリオ1:CLTCの研究者らは、以下の5点が新たな日常になるとしている。
- 2020年のインターネットユーザーは、自らのデータが盗まれ、個人情報が公開されてしまうことを前提にする。
- 司法当局は果てしない大規模サイバー攻撃との戦いに疲弊し、小規模なサイバー攻撃が日常茶飯事となる。
- 政府はデジタル犯罪に関する権限を明確化できず、お手上げ状態となる。
- ハッカーらが国境を越えて連携する一方で、司法当局は国家間の壁に阻まれる。
- 個人や組織がさまざまな手段で対応し、ある者はオフラインにすることを、またある者はデータが盗まれる前に公開することを、またある者は反撃することを選択する。
研究者らは少しふざけた様子で、「2020年のサイバー空間は、西部開拓時代の再来であり、オンライン上で保護と正義を期待する者は、自らの力でそれを実現しなければならなくなる」と付け加えている。
シナリオ2:個人の振る舞いを正確に予測するとともに巧みに操るモデルが開発される。この能力によって、インフラではなく人に焦点を当てたセキュリティ上の脆弱性が生み出され、計り知れないほどの損害がもたらされる。