ERPにはクラウドでしか解決できない問題がある:NetSuiteネルソンCEO

谷川耕一 2016年05月26日 12時00分

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 NetSuiteの年次カンファレンスイベント「SuiteWorld 16」で、同社はビジネストランザクションを1カ所に集めるプラットフォームがあること、さらには最初からクラウドだけで動かすための統合基幹業務システム(ERP)を提供してきたこと、そしてSaaSでありながらカスタマイズができることが強みだと一貫して主張する。プレジデントで最高経営責任者(CEO)のZach Nelson氏にNetSuiteのクラウドERPの強さについて話を聞いた。

SAPがデータベースを変えることはERPをクラウド化することではない

――20年くらい前、日本ではSAP ERPなどの導入が盛んになりました。とは言え、ビッグバンですべて統一化したアプリケーションというわけにはいかず、事業部門ごとなどでサイロ化したアプリケーション導入となっています。このような状況に対し、NetSuiteはどのような解決策を提示するのでしょうか?

 そういったERPの導入の状況は、何も日本に限った話ではありません。基調講演でNetSuiteのマーケットシェアが6位だった話をしましたが、6位でもまだシェア率は4%に過ぎません。そういう意味では、クラウド時代に対応した、新しいアーキテクチャのERPへの移行はまだまだ黎明期なのです。

 SAPの運用管理は面倒で、アップグレードにはコストもかかり大変です。とは言え、既存ビジネスと密接に結び付いているので、簡単に乗り換えるわけにはいきません。よくERPは人間の身体の心臓のようなものだと言います。つまり、元気な内は触らないと言うことです。

NetSuite プレジデント兼CEO Zach Nelson氏
NetSuite プレジデント兼CEO Zach Nelson氏

 20年くらい経過し、最近は少し具合が悪くなってきました。今の時代に合わなくなってきたのです。現在はインターネットの影響がかなり大きい。一人ひとりのビジネスへの関わり方も変わってきています。

 古いERPはインターネットが登場する以前の設計です。なので、インターネットを使ったインタラクションが簡単には行えないのです。顧客とのインタラクションも上手くできません。そのため、今後はクラウド型が非クラウド型を塗り替えていくことになるでしょう。

 もう1つの側面は、ベンチャー企業が成長している現実です。そのようなスタートアップ企業は、古いタイプのERPは使いません。最初からNetSuiteのような新しいシステムを活用します。それで彼らは大きく成長していきます。こういったことが増えているのも、ERPに対するニーズを変化させることになるでしょう。

――OracleやSAPもクラウド向けにERPを作り直したと言っていますが?

 Oracleはアプリケーションをモダンに作り変えたという意味では、SAPよりも良いものを作っていると思います。一方でSAPは本来、ERPの話だったのにいつの間にかデータベースの話にすり替わったりします。そういう意味では、クラウドのERPとして最適だとは言えないでしょう。

 ERPのデータベースを変えることと、アプリケーションをクラウドに最適化することは話が別です。なので、SAPはアプリケーションをクラウドに最適化したとは言えないでしょう。

 とは言え、クラウドERPが盛り上がれば、その機運はNetSuiteには良い方向に働きます。クラウドに最適化するためには、長い時間がかかります。われわれはそれをすでに20年間もやっています。他のベンダーがクラウドがERPの未来だと言うのならば、それはNetSuiteの未来の話だと言うことになります。

ERPの問題にはクラウドでしか解決できないものがある

――クラウドERPとしてNetSuiteに優位性があるのは理解できますが、それを除いてNetSuiteのERPとしての強みは?

 ERPはクリティカルな領域で使うものです。なのでERPを選ぶ際には、まずはクラウドかどうかよりも業務に必要な機能が揃っているかで選ぶことになります。そのため、われわれも顧客のビジネス要件を聞き、それに合うかどうかからアプローチします。

 ここ20年間で、ゼロからERPを作り上げたベンダーは他にはないでしょう。時間をかけてきた結果、多くの企業に採用されるに至っています。つまり、顧客の要望に応えられるものに成長したのです。その上で、クラウドから提供できます。それが他のベンダーに対する優位性になります。

 20年分のノウハウが、すべて1つのコードベースの中にあります。SAPやOracleなどのアプリケーションの場合は、インストールごとにそういったものが分散しています。ERPが抱えている課題には、クラウドでなければ解決できないものがあるのです。そういったものをNetSuiteは「OneWorld」で提供しています。

 古いアプリケーションは、拠点ごとに物理的にシステムが分かれていました。分散してまるでハンプティ・ダンプティの卵のようにバラバラで1つにするのは難しいものでした。

 NetSuiteは、データモデルが1つしかありません。これに対し、さまざまなユーザーがアクセスします。そのために、何かを組み立てる必要もありません。SAPは以前、「クラウドでは複雑なERPの処理はできない」とも言いました。しかし、今は逆にクラウドでないとグローバルに統合するERPの仕組みを作ることができないのです。これは皮肉なことですね。

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