米国政府は2015年、年間IT予算の多くをシステムのメンテナンスに費やした。この中には、数十年以上前から稼動しているシステムもあるという。背景には、「機能しているのであればそのままで良い」という考え方があるようだ。
しかし、問題は技術の一部が故障し、脆弱で時代遅れであること、そして限界に達しつつあるというところにある。
米国時間5月25日に発表された米国会計検査院(GAO)の報告書は、問題の大きさを明らかにした格好となった。報告書によると、連邦政府は2015年、ITシステムに800億ドルを費やしたが、610億ドルは運用とメンテナンスだったという。残りは開発や強化となり、新しいシステムの購入や既存システムの拡大が含まれる。
報告書には、たとえば以下のような内容が指摘されている。
司法省がセキュリティと保管のレベル、受刑者人口情報をモニタリングするのに利用するシステムは、現在もCOBOLを使っている。COBOLは1950年代にさかのぼるプログラミング言語だ。運輸省では、危険性物質が関連した事故を追跡するシステムを40年以上前から使っているという。安全保障省では多数のサーバで、およそ1年前にMicrosoftがサポートを打ち切った「Windows Server 2003」が動いている。これらのシステムは後方互換性の問題があるため、連邦政府のシェアードシステムに移行するのは2018年以降の予定という。
下院監視・政府改革委員会のJason Chaffetz委員長は、報告書が公開された直後の公聴会で、政府のIT支出は「だいたいにおいて機能していない」と述べた。
状況はかなり悪いようで、Chaffetz議員によると、政府機関では現在でも「Windows 3.1」が動いているところがあるという。Windows 3.1は20年以上前のOSだ。
委員会の召喚を受けた機関の代表者らは、古いシステムの一部はいまでも機能していると説明している。また、他のIT支出のために後回しになってしまったというところもあるとしている。
このように古いシステムが使われている状況に対し、ベンダーがソフトウェアやシステムにサポートを提供していないことから、セキュリティ脆弱性や欠陥の影響を受けやすいと報告書では主張している。
Obama政権は2017会計年度の年間IT予算を890億ドル超にすることを求めていた。
提供:stock photo
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。