SAPジャパンは5月26日、サッカーACミラン本田圭佑氏のマネジメント事務所であるHONDA ESTILOが実質的な経営権を持つオーストリアのサッカークラブ、ホルンと、元日本代表監督の岡田武史氏がオーナーを務めるFC今治が、7月6日にオーストリアのホルンでプレシーズンマッチを開催することになり、この試合にテクノロジ面で協力すると発表した。
SAPは「スポーツの産業化×第4次産業革命」をテーマとして掲げる。同社はドイツブンデスリーガ、Hoffenheimをサポートするなど、テクノロジによるスポーツの高度化支援に力を入れている。
今回も、センサや分析ソフトウェアなどの技術により、選手の育成方法やサッカースクール経営の革新といった手法の提示も意図している。
スポーツ事業革新に取り組む際のポイントはチーム、スタジアム、ファンの3つ。具体的には、選手にセンサをつけてネットワークにつなぐ「SAP Sports One」、スタジアム全体をつなぐ「SAP Live Stadium Experience」、サポーターをつなぐ「SAP Hybris Marketing」「SAP Hybris Profile」といったソフトウェアが前提となる。
全体にかかわる考え方は、デジタル時代に顧客とどうかかわっていくかということ。馬場氏は「アノニマス」「マネタイズ」「オートメーション」の3つをキーワードとして挙げる。
SAPジャパンのバイスプレジデントで、Chief Innovation Officerを務める馬場渉氏は、アノニマスという言葉について、従来のCRMとは異なる考え方とする。従来のCRMではデータベースの一番左、すなわち名前が分かっていることを前提としていたが、デジタル時代では、例えばFacebookでどんな投稿をしているのか、どんなことが好きなのかといった情報が分かってきて「名前が分かるのは最後」(馬場氏)とのこと。
デジタル時代の顧客エンゲージメントのために必要なのは、オムニチャネルで発生したロイヤルティデータ、マーケティングデータ、SNS、IoT、財務データなど「顧客接点」から「気づき」を獲得することだ。その後、「機械学習を通じたプロファイリング」を通じて、「パーソナライズした顧客像」を得た上で、SNS、コールセンター、メールなどそれぞれに合致したチャネル経由で顧客と接し、リアルタイムで顧客の反応を把握するといったPDCAサイクルを回すイメージだ。
SAPジャパンは以前からFC今治をサポートしており、岡田氏とのつながりがあったことで今回の取り組みが実現した。
FC今治のオプティマイゼーション事業本部長、高司裕也氏は、SAPのサポートによる効果について「これまでチームの戦術を全体でみることはあったが、個人のプレーを詳細に把握する手法がなかった。選手の成長にプラスであると感じている」と述べている。