顧客がPepperを歓迎し、MasterPassのアプリをタップするか、Pepperが持つQRコードをスキャンしてくれれば、このロボットは接客の仕事をすることができる。その際、Pepperはお勧めのメニューや情報を提供したり、支払いの支援をしたりして顧客を助ける。つまりPepperはトランザクションを開始し、確認し、完了することになる。NFCが問題なく利用できれば、Pepperは人間と同じ仕事ができ、嫌なことがあった日に機嫌が悪くなるというような問題も起こさないだろう。
MasterCardは発表の中で、今回の取り組みは人間を置き換えることを目的としたものではないと発言している。広報担当者は次のように述べている。
今回のような応用例は、顧客に対するサービスや配慮の質を大きく向上させると考えられる。小売業界では、以前からセルフサービスキオスクやATMが存在しているが、顧客がこれらのシステムに対して、直感的なユーザー体験が得られないことに不満を感じていることはよく知られている。自動注文は特にアジアでは広く普及しており、PepperとMasterPassのようなデジタル決済アプリケーションを用いれば、小売業者はこれまでは単純な反応しか返さなかった機械に知性を与え、顧客体験を改善することができる。ロボットは人が提供するサービスを補完する存在だとわれわれは捉えている。
昨今の外食産業は、高い感性とハイテクが融合する体験になった。個人に合わせた体験を提供する必要性はこれまでになく高まっており、顧客体験の確保を重視することが競争力を維持する。
Pizza Hutのデジタル変革への取り組みで中心となるのは、顧客がPizza Hutと簡単に関わり、つながり、取引を行えるようにすることだ。Pepperに注文と支払いの機能を持たせることで、顧客はPizza Hutの店舗で個人の好みに合わせた注文や、持ち帰るまでの待ち時間の削減、楽しく摩擦の少ないユーザー体験を期待できるようになる。
その通りだ。PepperとPizza Hut Asiaのコラボレーションを、ロボットを使った販売実験以上のものとして捉える必要はない。それに、日本の高齢化社会は、ロボットの助けを必要としている。
しかし「歩くコスト」とも呼ばれるわれわれ人間にとっては、この労働市場に関する問題が、数年後にどの方向に転がっているかは気になるところだ。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。