日本IBMは5月25日、APIなどを活用して先進的なアプリケーションの開発を支援する「IBM Garage」を開設。第1弾としてブロックチェーン技術の検証、導入支援サービスを提供する。日本に開設したGarageはサンフランシスコ、トロント、ロンドン、ニース、メルボルンに続く、世界で6番目の施設開設となる。
Garageは「アイデアの創造を目的としたデザインワークショップ」「アイデアの検証を目的としたソリューション検証サービス」「アイデアの実現を目的とした開発サービス」の3つのサービスを提供する。現段階では、ブロックチェーンのほかにコグニティブコンピューティング「Watson」やモノのインターネット(IoT)、ビジネスアナリティクス、モバイルという5つの分野の先進サービスを提供する計画。今回のブロックチェーンのアプリ開発支援がその第1弾となる。
日本IBM 執行役員 インダストリー・ソリューション事業担当 鶴田規久氏
日本IBM クラウド事業本部IBMクラウド・マイスター 紫関昭光氏
日本IBM グローバル・ビジネス・サービス事業 金融トランスフォーメーション アソシエイト・パートナー 高木隆氏
Garageでのブロックチェーンは、Linux Foundationでオープンソースソフトウェアで開発が進んでいるフレームワーク「Hyperledger Project」の機能をベースにしている。
「Hyperledgerの提供機能をベースに上流コンサルから保守まで一貫したサービスを提供する準備を進めている。今後、マネージドサービスなどの提供も予定しており、トータルなブロックチェーンソリューションを提供していく」(執行役員 インダストリー・ソリューション事業担当 鶴田規久氏)
ブロックチェーンの得意不得意を見極める
Garageは、アプリケーションのプロトタイプをPaaS「IBM Bluemix」上に6~13週間程度の短期間で開発することを支援するサービス。企業が必要とする、先進的なアプリケーションを開発することを支援する。
「イノベーティブなアプリを開発するためには、アプリがあるだけでは十分ではないので、破壊的なアイデアの発想、思考実験をしながらアプリケーションデザインといった部分までIBMにサポートしてほしいというニーズに応える内容」(クラウド事業本部IBMクラウド・マイスター 紫関昭光氏)
IBMでは「IBM Design Thinking」の名称で、デザイン手法によるアイデア創造を支援するプログラムをもっている。Garageではこの手法でアイデアを創り出すところからサポートする。その上で「アジャイルなDevOpsによるアイデアを検証した上で開発する」(紫関氏)
Bluemix Garage Methodとして、「Think=Design Thinkingによるアイデア創出」「Code=スクラム、テスト駆動型開発、マイクロサービスの活用など」「Deliver=継続的デリバー、デリバー・パイプライン」、「Run=ダークローンチ、オートスケール」「Manage=サーキットブレーカー、監視、自動運用」「Learn=A/Bテスト、仮説駆動型開発」といったことを実践する。
海外ですでに誕生している事例として、カナダの生命保険会社は金融に関するリテラシーが高くない顧客を対象に資産管理を自己学習できるモバイルアプリをDesign Thinkingでアイデアを創造する中で開発するに至り、顧客に提供しているケースがあると説明。米国の銀行で有価証券貸し付けアプリをブロックチェーン概念を実証するセキュリティ検証として開発するといった事例が生まれている。
Hyperledgerをベースにして補完する機能を順次リリースする
第1弾として提供するブロックチェーンに関しては、「3つのイノベーションが必要」(グローバル・ビジネス・サービス事業 金融トランスフォーメーション アソシエイト・パートナー 高木隆氏)と説明する。