事務機器メーカーなどが加盟する一般社団法人ビジネス機械・情報システム産業協会(Japan Business Machine and Information System Industries Association:JBMIA)の会長にセイコーエプソン代表取締役社長の碓井稔氏が就任した。
5月26日に行われた第7回定時総会後の記者会見で碓井氏は「協会活動の重要テーマとして多様な環境規制への対応をリードする基盤構築、海外団体との連携強化によるグローバルビジネスを取り巻く環境変化への対応、魅力ある協会づくりと体質強化の3点に取り組む」ことを明らかにした。
JBMIA新会長 碓井稔氏(セイコーエプソン代表取締役社長)
「他業界との連携や事務機器の新たな顧客価値創造など、幅広いドメインの会員が入会したいと思える、魅力ある協会づくりを意識した取り組みを推進する。事務機は日本が一番進んでいる。そして、デジタル化が進んでいる市場でもある。これまでにもドメインを広げる活動を進めてきており、こうしたベースを含めて、より多くの企業が興味を持ってもらえる協会にしたい。期待してほしい」
碓井氏はまた、「国際社会のグローバリゼーション、新興国の台頭、国内消費動向の足踏みや消費増税の動きなどがみられる一方、TPP(環太平洋経済連携協定)の大筋合意やCOP21(国連気候変動枠組条約第21回締約国会議)のパリ協定採択など、新たな枠組みが形成され、大きな変革期を迎えている」と現在の市場の大きな変化を説明した。
「こうした環境変化の中で業界全体の共通課題は、先進国や新興国で多様化する法規制や環境規制の変化、通商関税での新たな枠組みによる影響を先取りし、迅速に対応することであり、それにより当業界の競争力維持向上を図るべく、グローバルな観点で協会活動や政策提言に取り組む」
重点テーマに挙げた「多様な環境規制への対応をリードする基盤構築」では、COP21パリ協定ですべての国や地域を対象とした地球温暖化対策の新たな枠組みで合意したことを受けて、事務機器業界に求められる規制が多様化すると予測。「各国の関係機関と連携して、情報の早期把握に努めるとともに、協会活動で蓄積したノウハウの提供や共通課題解決への協力体制を築くなど、リーダーシップを発揮して、業界の基盤構築を進める」
「海外団体との連携強化によるグローバルビジネスを取り巻く環境変化への対応」では、TPPの大筋合意とともに世界貿易機関(WTO)でIT製品の関税撤廃を定めた情報技術協定(Information Technology Agreement:ITA)の品目拡大などの通商関税の枠組みの環境変化を捉えて、こう語った。
「グローバルに事業を展開している当業界にとっての影響は大きく、合意事項の確実な実行に向けて、各国の関係団体とも連携強化して提言するとともに、業界共通の課題解決に向けて協会一丸となって取り組む」。国際標準化活動や知的財産に関する課題などにも取り組むことで「業界の競争力を下支えしていく」
「魅力ある協会づくりと体質強化」について碓井氏は、「協会のグローバリゼーション推進と価値向上を図ることで、業界の持続的な成長に貢献するとともに、協会の理念である『ビジネス機械・情報システムの継続的な革新を通じて、新しいワークスタイルを提案し、活力あるグローバル社会を創る』という理念の実行に尽力する」と宣言した。