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Edge AIとクラウドAIの出会いがもたらす未来、Pepper×Azure協業の舞台裏 - (page 2)

小林哲雄

2016-05-30 07:00

製品版「Pepper×Azure」のアーキテクチャを披露

 次に宮原氏は、秋ごろ提供が予定されている商用版「未来の商品棚」のアーキテクチャとそこで使われるコンポーネントを紹介した。構成は以下の図の通りだ。


今秋提供予定の商用版「未来の商品棚」のアーキテクチャ

 Azure IoT Hubを利用するとセキュアかつ数百万ものデバイス接続に耐えられるスケーラビリティがある。Pepperへの接続も内部がPythonコードでできているGUIコンポーネントをドラッグ&ドロップして、入出力フローを繋ぐだけで構築可能だ。これをCloud Robotics FXに送り込むことでイベント処理を構築する。ただし、まだCloud Robotics FXはベータ版であり、提供時期は決まっていないそうだ。

 宮原氏はまた、製品版の構成要素として、Azure Machine LearningとAzure Cognitive Serviceを紹介。

 前者は人工知能プラットフォーム、GUIでコンポーネントを線で結ぶだけで設定可能で、分類や数値予測もあるが、レコメンデーションが使いやすいのでぜひ使ってほしいという。Bingの検索連動広告にも使われており、マッチボックスが安価に利用できることも魅力だ。注意事項として、新しいポータルではまだサポートされていない(クリックすると旧ポータルに飛ぶ)ということを挙げていた。

 後者Azure Cognitive Serviceは、ディープラーニング技術などを利用した人工知能サービスAPI軍だ。「負荷が高いので、GPU(Tesla M60/K80)をサポートするNシリーズを使ってほしい」(宮原氏)という。Vision/Speech/Language/Search/Knowledgeの5分野に対し昨年まで7つしかなかったコンポーネントが現在21まで増えたそうだ。

 ディープラーニング技術に関してはImageNetコンテストによる結果を紹介、2015年にエントリした5分野すべてでNo.1と評価され、特にImageNet Classificationでは誤差率が3.5%と他社を圧倒する成績という点を強調していた。

声紋による顧客判別、botによる自動応答への展開も

 次に「未来の商品棚の近未来」ということでCognitive Serviceのユースケースについて紹介。ここまでのデモではPepperのカメラのみを使用していたが、Surface Hubのカメラと連動した顧客の自動認識とトラッキングや、「顧客の顔情報を取られる嫌悪感」を意識し、Face APIだけでなく、Speaker Recognitive APIを使用した声紋による判断、また最近注目されつつあるBotとBingを使った自動応答にも期待を寄せた。

 最後にPepperのカメラデータをAzure Cognitive Serviceに入れたデモを実施。判定した確率を元に、もう1台のPepperがツッコミを入れるという内容で、Edge AIとCloud AIの出会いは革新的なサービスを生むかもしれないという可能性と、Azure PaaSサービスを利用することで従来ならば1年かけても実現できなったことが数週間~3カ月、費用も10分の1で実現できるという展望を示した。

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