海外コメンタリー

蘇る「OS/2」、新名称は「ArcaOS」に--年内リリースに向け徐々に詳細が判明

James Sanders (Special to TechRepublic) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-06-01 06:00

 「OS/2」のリバイバルを進めている企業であるArca Noaeの担当者は、OS/2のユーザー、開発者、熱心なファンが集まる年次コンベンション「WarpStock Europe」で、2015年11月に米TechRepublicの取材に対して明らかにした「Blue Lion」プロジェクトの状況についてプレゼンテーションを行った。

 IBMは「Warp 4」のリリースを最後に、1996年にOS/2の主要な開発を終了している。その後もエンタープライズ環境に必要なサポートを提供するためのメンテナンスリリースは継続されていたが、2001年にはそれも終了している。

「Blue Lion」から「ArcaOS 5.0」へ

 Blue Lionプロジェクトが発表されたのは、2015年10月に開催されたAmerican WarpStockでのことだったが、その名称は暫定的なものだった。WarpStock Europeの閉幕後、Arca Noaeの執行役であるLewis Rosenthal氏は、インタビューの中で、OS/2の新規ディストリビューションの最終的な製品名は「ArcaOS 5.0」になると明かした。このバージョン番号は、2001年にリリースされたOS/2の最後のメンテナンスリリースが、IBM OS/2 4.52だったことに由来している。

 ArcaOS 5.0は2016年第4四半期にリリースされる予定だが、Blue Lionの名前はコードネームとして残る。これは、「Ubuntu 15.10」のコードネームとして「Wily Werewolf」が使われているのと似ている。

 しかし、Arca Noaeの計画はそこで終わりではない。ArcaOSの今後のリリースを展望するロードマップはまだ作成中だが、バージョン5.1では対応言語が追加される予定だ。現時点では、バージョン5.1で優先して対応する言語としてフランス語、スペイン語、イタリア語、ドイツ語、オランダ語が挙げられているが、Rosenthal氏によれば、これは2017年に向けての暫定的な計画で、他の言語も追加される可能性が高いという。

 ArcaOSには2つのエディションが用意される。「ArcaOS Commercial Edition」はミッションクリティカルな環境で使用されることを想定したもので、12カ月間のアップデートと優先サポートが付属する。「ArcaOS Personal Edition」には6カ月間のアップデートとサポートが付属し、Commercial Editionよりも低価格で提供される。同梱されるソフトウェアと利用できる機能は、どちらのエディションでもまったく同じだ。

 ArcaOSにはサードパーティベンダーのソフトウェアが含まれており、まだ各ベンダーとの交渉が終わっていないため、価格は公表されていない。Arca Noaeの既存のソフトウェアサブスクリプション契約を利用しているユーザーは、日割り計算での割引の対象となる。

 ArcaOSには、Arca Noaeが既存のOS/2環境向けにこれまでに販売した、既存のソフトウェアおよびドライバパッケージがすべて含まれている。また、ACPIの最近のバージョンや、USB 1.1および2.0、SATAの利用に必要なAHCI、ネットワークカード用のMultimacドライバスイート(将来的には無線のサポートも提供)、ALSA互換サウンドドライバである「Uniaud」などがサポートされている。また、ArcaOSではCUPSやKerberos認証もサポートされる。

 従来のWarpカーネルの他に、最新のプロセッサを搭載したシステムのための対称型マルチプロセッサ(SMP)対応カーネルも提供されているが、ユニカーネル設計では提供されない。OS/2は32ビットOSであるため、構造的に大容量のRAMは利用できないが、最大4GバイトのRAMディスクを作成するためのサポートが追加されている。

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