予兆検知で造船時の異常停止を予防--NTTデータと日立造船

NO BUDGET

2016-06-02 06:45

 NTTデータとNTTデータエンジニアリングシステムズ(NDES)、日立造船は5月31日、日立造船有明工場における大型機械加工設備の遠隔監視の本格実証実験を同日より開始したと発表した。

 実証実験は、1月から3社で検討を進めてきており、NTTデータが開発した稼働音解析IoT技術を活用した機械加工設備の監視環境と、日立造船が長年にわたって培ってきた保全業務経験を組み合わせ、設備機器の稼働音に着目し、正常稼働時および異常発生時の状態をモデル化する。

 これにより、異常を検知をし、停止を予防し、安定的な年間生産計画の達成に向けて効果検証する。期間は、実証環境構築が5月31日から6月30日、ビジネス効果検証が7月1日から2017年3月31日の予定。


実証実験概念図

 日立造船有明工場では大型舶用ディーゼルエンジンを製造しており、中でも大型溶接構造物の機械加工工程がエンジン全体の製造工程に大きな影響を与える。そのため、設備の故障による工程の見直しや予期せぬ異常停止による工程のずれを発生させないことが、効率良く高品質の製品を作り続ける上で不可欠になる。

 特に、今回の実証実験の対象となる機械加工設備は、大型かつ日立造船向けの特注機器であるため、代替機との交換などが難しい。短期間で復旧するには予防保全の徹底や故障頻度の多い部材の在庫を持つなどの対応が必要だが、予期できない故障には対応できず、生産計画に影響を与える場合があった。

 この課題に対し日立造船とNTTデータグループは今回、ベテランの設備保全技術者へのヒアリングとメンテナンス履歴の確認から、「故障」と「稼働音」に相関関係があることに着目。設備の稼動音特性を可視化し、収集、分析することで設備の異常およびその予兆を把握し、機器の故障による生産への影響を最小化するための取り組みを開始した。

 具体的には、日立造船有明工場の基幹生産設備である大型五面加工機の主要部品に複数のマイクを設置し、稼動音データを収集、NTT研究所の音響信号分析技術を利用してNTTデータが開発した「稼動音解析システム」により分析する。

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