その結果、第3の市場で膨大な情報の取得と分析、そして新たな視点で市場を洞察しなければ、勝者になることは難しいと述べた。この潮流に乗っているのがAppleのアプリストアやUberだという。特に後者については「交通システムの改善を政府に提案し、フードデリバリーへの展開を目指すなど新たな価値を生み出している」(Tucker氏)
Tucker氏はデジタル変革とリスクの関係についても次のように説明した。すでに白熱球からLED電球にトレンドは移っているが、販売商品やニーズにあわせた配色で、購買意欲や快適性を向上させる商品、街灯も無線LANの提供やビーコンによるユーザーナビゲーションシステムを提供するソリューションを用意しつつあると説明。自社の主力製品に数えられる白熱球のビジネスモデルを捨てる決断について、「常にビジネスモデルが変わっていく。対応するには俊敏性が必要」(Tucker氏)とした。
GEとクラウドの関係については2011年から実験的な試みを進めてきたが、結果としてコスト削減と生産性に注力でき、「(企業の)文化を変える力を持っている」(Tucker氏)。実際にGE Oil & Gasでは、300ものアプリケーションをクラウドへ移行し、古い基盤を廃止することで月間50万ドルのコスト削減に成功している。
GE全体ではパブリッククラウドのAWSで8ビジネスユニットを稼働させ、45ものAWSサービスを利用。749ものアプリケーションを展開し、2015年までには4つの自社データセンターをシャットダウンしたという(1月時点)。AWSと深い関係にあるGEは、「クラウドを検討するにあたって、多くを投資してきたが、現在は投資先をAWSに変更し、会社の変革につなげていく」(Tucker氏)という。
さらにクラウドへの移行過程で学んだ教訓として「自動化が重要」(Tucker氏)だと強く強調した。オンプレミスサーバの管理など時間のかかるタスクから人々を開放し、意思決定などの作業に集中できるようになったという。
Tucker氏はクラウドへの旅を聴講者に促しつつも、「リスクは至るところにある」「プラットフォームに移行し、洞察エンジンを作ることが(他社との)差別化につながる」「変化に積極的になる。自分たちのビジネス市場を破壊しなければ、必ず他社があなたのビジネス市場を破壊してしまう」と3つの注意点を掲げて降壇した。

Tucker氏がまとめた、クラウドジャーニーで学んだ6つの教訓とそこから生み出されるもの