--今後の展望は。
自社の事業はもちろん成長させますが、不動産市場を活性化したいです。人口が減少する日本で市場を活性化させるには、既存の不動産を要素開発して、高齢者向けデイケアセンターにするとか、マンションの一室に小規模保育園を作ることが可能です。
あとはシェアリングエコノミーで空き家の問題を解消すること、不動産取引をオンライン化することが市場活性化につながります。また、不動産の小口投資型のクラウドファウンディングにより、国内の不動産投資家だけでなく海外からも資金を呼び込んで、日本の市場を拡大することも考えています。
2020年ごろには、五輪特需がなくなり、不動産市場が少し落ち着いて、空き家の問題などが顕在化している可能性があります。私はシェアリングエコノミー推進派で、政策会議などに提議することもあります。具体的にはAirBnBの認可が緩和などです。
民泊の方が動きは速いですが、空き家の問題も重要です。空き家は今、820万戸ですが、2030年には2000万戸余るといわれています。どんどん増え続けているのです。2020年には全住戸の30%が空き家になると推定されています。
こんな先進国は他にありません。どうしてこうなるか。新築を造り続けるからです。政府も、新築を造らせるとGDPを0.1ほど押し上げるので、これまで景気刺激策としてやってきたのですが、もう人口が減り始めていますので限界です。
国策として、もう間違った方向にリードしてしまっているのですが、3分の1が空き家の日本を想像してみてください。長野、山梨、島根、鳥取あたりだと50%が空き家率になるという予測もあります。2軒に1軒、誰もいないのですよ。人口を一気に増やすのは難しいのにどうするのということです。
だから逗留(とうりゅう)人口を増やす。海外から来る人、それに日本人の国内旅行をする人がいろいろなところで泊まって、体験ができるようにするとか、あとは先ほど申し上げた他の用途開発をするわけです。デイケアセンターにしたり、小規模保育所にしてみたり、カフェでもいいですし、古民家旅館にしてもいいです。とにかくいろいろな形で有効活用していかないとダメでしょう。
新築の着工の総量規制をする気で、業界に対して、賃貸でもマンションでも戸建てでもいいけれど、今のもう80万戸ではなくて、30万までに抑えなさいとお達しを出すのも一案です。「その30万戸の中でしか建築基準の許可を出しません」という風にしないと、ずっと増え続ける。
いまは、他に住み替えするときのスイッチングコストが今は高いので、そこをなるべくITの力でフラットにして、生涯で4~5回と呼ばれる住み替え回数が、8回くらいになって、ホテルを変えるように住む場所を変えられるようにしていく。どんどん人がライフステージに合わせて住み替えをしやすくなれば、空き家問題を解決しながら、不動産市場を拡大できるでしょう。