NTTデータ先端技術など4社、OpenStack「Tacker」の商用利用性を確認と発表

羽野三千世 (編集部)

2016-06-06 18:29

 NTTデータ先端技術、ブロケード コミュニケーションズ システムズ、デル、レッドハットの4社は6月6日、OpenStackの「Tacker」をベースとした通信事業者向けシステムの共同検証を実施したと発表した。各社の関連製品を組み合わせて通信事業者向けにTackerを用いたシステムを構築し、VPNサービスの運用自動化、およびVNF(仮想化したネットワーク機能)の障害自動再構成による保守自動化が実現できることを確認したとする。

 Tackerは、3月にリリースされたOpenStack Mitakaのプロジェクト(Neutronのサブプロジェクト)の1つで、VNFの保守運用機能を提供するもの。SDI(ソフトウェアで制御する仮想化基盤)やNFV(ネットワーク機能の仮想化)といった通信事業者向けシステムを統合的に保守運用するアーキテクチャ「NFV-MANO」の一部を実現するものとして、注目されている。

 しかしながら、通信事業者がマルチベンダーのSDI/NFV製品を導入するにあたっては、キャリアサービスの実現性を見極める必要があるという課題があった。そこで、今回の共同検証では、NTTデータ先端技術が、ブロケード、デル、レッドハットのSDI/NFV製品を組み合わせた上で、設計からサービス実装までの開発、検証を実施。通信事業者での商用利用を想定した構築、運用の実現性を確認した。

 具体的には、ETSI(欧州電気通信標準化機構)が提唱するNFV-MANOアーキテクチャを採用し、OpenStackとx86サーバをベースに仮想化基盤を構築。そのうえで、Tackerプロジェクトベースのアプリケーションを導入し、仮想ルータを制御することで通信事業者向けシステムを実現した。


共同検証での通信事業者向けシステムのNFV-MANOアーキテクチャ

 共同検証での評価観点は、(1)運用性としてL2-VPN、L3-VPNをサービスユースケースに定め、エンドユーザーからの申し込みに応じた開通・設定変更・廃止の運用自動化の実現性、(2)耐障害性としてL2-VPN、L3-VPNを実現するVNFで模擬故障を発生させ、自動修復による保守の自動化の実現性――の2点に置いた。検証の結果、いずれも実現できることが確認されたという。


OpenStack Tacker を用いた商用キャリアクラウドの構成例

 共同検証で使用した各社の製品は以下の通り。

  • Brocade SDN Controller、Brocade VNF Manager(開発版:OpenStack Tackerベース)
  • Brocade vRouter 5600
  • Dell PowerEdge R630、Dell Networking S6000
  • DPDK とSR-IOV対応NIC

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