デロイト トーマツ リスクサービス(DTRS)は5月24日、神奈川県横浜市でCICの開所式を開催した。CICはサイバーインテリジェンスセンターの略で、同社の顧客インフラをサイバー攻撃から守るための拠点。デロイト トーマツグループとしては世界20カ国以上にCICがあり、日本でも2015年9月よりCICのサービスを提供していたが、今回、見学も可能なCICを正式に開所し、サービスも拡充した。
監査法人トーマツのアドバイザリー事業本部長である木村研一氏
監査法人トーマツのアドバイザリー事業本部長である木村研一氏は、「情報セキュリティが企業にとって大きな経営リスクになっており、ステークホルダーも企業の情報セキュリティ対策への関心が高まっている。しかし現状では、ITの重要性を理解している企業であっても情報セキュリティは現場任せというケースが多い。対応を誤ると大きな影響を受ける」と指摘。デロイトは世界中のCICと連携できる日本のCICを開設したことで、より高度なソリューションを提供できるとした。
デロイトCICの展開
国や横浜市も日本CICの開設に期待
前内閣府大臣補佐官で衆議院議員の福田峰之氏
来賓として登壇した、前内閣府大臣補佐官で衆議院議員の福田峰之氏は、ITがインフラとして社会を支えている現在、サイバーセキュリティは無視できない要素であるが、これは政府や党だけではできないことなので、デロイトのCICが開設されたことは非常に喜ばしいとした。これからは企業が経費としてではなく投資としてサイバーセキュリティ対策を行う世界になるため、政府としてもセキュリティに投資した企業に税の優遇で対応し、損をしてほしくないと述べた。
また、CICが横浜に開設されたことで、企業だけでなく横浜市民のセキュリティ意識を向上するきっかけになり、それが結果として国家や生活の土台になっていくことを期待すると述べた。さらに2016年はサイバーセキュリティ基本法の改正もある。日本にはセキュリティに関してスペシャルな国家資格があるなど、サイバーセキュリティがトータルで整っている国であるとし、横浜の地からそれを発信してほしいとした。
横浜市の最高情報統括責任者補佐監である福田次郎氏
同じく来賓として登壇した、横浜市の最高情報統括責任者補佐監である福田次郎氏は、サイバー攻撃が高いレベルになって被害も発生しており、企業や行政においても脅威になっていることを日々実感していると所感を示した。サイバー攻撃の監視や対策の支援を提供するCICにより安心なビジネス環境を実現し、より多くの企業が横浜に来てもらえるよう盛り上がることを期待しているとした。
横浜市は情報化やオープン化を強く推進しており、2020年の東京五輪の年には桜木町に新庁舎を完成させる予定。新しいワークスタイルをIoTやAI、ロボット、VRなど最新のIT技術で実現するとともに、市民サービスにも取り入れ、それらを吸引力に横浜の産業を盛り上げたいと述べた。その上で、セキュリティの確保は企業だけでなく市民生活においても重要な課題で、CICの役割はとても重要であり、期待していると述べた。