ドロップボックスのCEOがハイブリッドクラウド戦略を明かす--HPEと提携

末岡洋子 2016年06月14日 07時30分

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 クラウドファーストとしてクラウドで生まれ、クラウドを生業とするDropbox。同社がAmazon Web Services(AWS)のパブリッククラウド利用をスケールダウンし、ハイブリッドクラウドに方針を転換したことが大きなニュースになったのは、今年3月のことだ。

 そのDropboxが選んだシステムは、Hewlett Packard Enterprise(HPE)のものだった。HPEが6月7日より3日間、米ラスベガスで開催中の年次イベント「HPE Discover 2016」で、2人の最高経営責任者(CEO)がステージで明かした。

(左から)Dropboxの共同創業者兼CEO、Drew Houston氏とHPEの最高経営責任者(CEO)Meg Whitman氏
(左から)Dropboxの共同創業者兼CEO Drew Houston氏と
HPEの最高経営責任者(CEO)Meg Whitman氏

 ファイル共有・同期サービスを提供するDropboxは、インフラをAWSのIaaSに頼って成長してきた。クラウドを利用することで、ITインフラを迅速に、少ない初期投資で構築。スピーディにサービスを展開し、ユーザーの増加に合わせて容易に拡張してきた。クラウドのメリットを集めた典型的なスタートアップの事例だが、Dropboxは3月、全面的ではないにせよパブリッククラウドオンリーからハイブリッドクラウドに切り替えることを発表した。

 Dropboxがハイブリッドクラウドシステムの構築で選んだのがHPEだった。この日、HPEの最高経営責任者、Meg Whitman氏の基調講演中にDropboxの共同創業者兼CEO、Drew Houston氏が登場し、2社の蜜月ぶりをアピールした。

 Whitman氏はクラウドがデジタルトランスフォーメーションの重要な一翼を担っていることを認めつつも、「単にすべてクラウドにすればいいというものでもない。パブリッククラウド、プライベートクラウド、仮想化などを適切に組み合わせる必要がある」と述べる。Whitman氏は以前からこれを、自社のニーズにあった「Right Mix(適切な組み合わせ)を」と提案してきた。そこでは、コスト、セキュリティなどを考慮しながら、どこまで自社で持ち、どこでパートナーを組むのかが重要になるという。

 Dropboxがパブリッククラウドから、「パブリッククラウドの柔軟性と拡張性を維持しつつハイブリッドモデルに切り替えた」(Whitman氏)背景には、コスト効率とセキュリティがあるという。HPEとDropboxは数カ月にわたって共同でアーキテクチャを構築したとのことで、Whitman氏によると、「HPE ProLiant」サーバ、ハイパースケールクラウドサーバ「HPE Cloudline」も導入している。

Dropboxの共同創業者兼CEO Drew Houston氏
Dropboxの共同創業者兼CEO Drew Houston氏

 「顧客である最高情報責任者(CIO)と話していて、一番よく出てくるのが”What’s Next(次は何?)”」とHouston氏、コスト、セキュリティなどを考慮し、次のレベルの成長を考えた時にハイブリッドクラウド導入に踏み切ったということのようだ。

 「われわれは世界でも最大級のクラウドサービスを運用しており、われわれ自身も顧客がクラウドに移行するのを助けてきた。(それにあたって)パフォーマンス、柔軟性、安全性を提供した」とHouston氏。だが、インハウスのインフラの方がパフォーマンス、さらには柔軟性、コントロールで優れるのではと気がついたとのことだ。

 土台のアーキテクチャを変更するのは大きな決断にみえるが、Whitman氏が決断の難しさについて尋ねたところ、「早かった」とHouston氏。決断後の課題は「データのマイグレーション」で数百Tバイト規模のデータを異なる環境に移す必要があったと振り返った。

 「飛行中に、乗客(顧客)に気が付かれずにジェット機のエンジンを取り替えるような感じだった」とHouston氏。協業の成果が実って移行は成功、「結果にとても満足しているし、競合優位性をもたらした」と感想を語った。「コスト効率、パフォーマンス、アジリティ(敏しょうさ)を得られた?」とWhitman氏が聞いたところ、「その通り」と返した。

 HPEは多くのハードウェアベンダーと同様にハイブリッドクラウドを推進している。自社もパブリッククラウドを提供していたが、2015年末に撤退を表明し、現在はハイブリッドクラウドを推奨している。Dropboxの事例は、HPEにとって大きな後押しとなりそうだ。

 2社の関係はこれだけではなく、HPEがDropboxの法人顧客となったことも明らかになった。2社はチャネルでも提携しており、共同で営業やマーケティングなども実施する模様だ。

 Dropboxは個人ユーザーが中心だが法人を強化しており、現在顧客企業は15万を数えるという。

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