クラウドベースの映像プラットフォームの開発、販売するITベンチャーのセーフィー(東京都品川区)がセキュリティ会社や建設会社、住宅メーカー、不動産業、小売業、農業、飲食業などに監視カメラの映像データを活用したセキュリティサービス市場の創出を提案している。低コストで高画質な動画を保存、利用可能になれば、個人にも需要が広がる。
クラウド型映像サービスを提供するセーフィー
セーフィーの佐渡島隆平社長は、クラウド型映像プラットフォームの開発に取り組んだ理由を説明する。1つは、「映像にはいろんな使い方があるのに、データが使い切れていない」こと。もう1つは、佐渡島社長の個人的な経験にある。
数年前に家を新築する際、監視カメラ2台の購入を検討したところ、セキュリティ会社の価格が70万円から80万円もしたこと。30万画素程度のアナログカメラという1990年代初頭の仕様にも驚いたという。映像データを大量に記録、保存するために、画質を落としたり、静止画にしたり、音声を使わなかったりもしているからだ。視野角も90度と狭い。
画像品質に加えて、データがハッキングされやすいなどセキュリティ面の課題もあったという。「監視カメラの中身はLinuxサーバで、簡単にアクセスできる。デフォルトのままで、パスワードをかけていないこともある」(佐渡島社長)。個人情報などの映像管理のずさんさも、問題視され始めていた。
そこで、ソニーやソネットなどに在籍した技術者らが2014年10月にセーフィーを設立し、映像データを安全、安価に活用できるクラウド型映像プラットフォームの開発に取り組んだ。監視カメラをクライアントにし、サーバにデータを暗号化して送る仕組みで、スマートフォンなどからクラウドに保存したデータを見られるし、担当レベルに分けて見られる範囲を設定もできる。もちろん、動的な管理もできる。
しかも、市販の2万円弱の監視カメラで、「50倍以上の映像品質」を実現。使用料も監視カメラ1台あたり月額980円からにする。リース会社と提携し、建設工事現場の進捗管理などに適する短期レンタルも用意する。