データを可視化する
クラウド型映像プラットフォームは、2015年8月にサービス提供を開始し、接続されている監視カメラの台数は数千台に達する。だが、佐渡島社長は数万台、数十万台、数百万台を目標にする。達成に向けた具体策の1つが、監視カメラメーカーに監視カメラを映像プラットフォームにつなぐソフトモジュールの無償配布を始めたこと。
監視カメラにソフトモジュールを組み込むことで、カメラメーカーはカメラの販売に加えて、クラウドサービスの利用手数料が入る。プラットフォーム上のソリューションが増えれば、カメラの台数と手数料がさらに増える。
映像データを活用するセキュリティサービスは、いろいろ考えられる。賃貸アパートの管理会社が、不審者を発見したら、何らかの対策を打つ。ゴミが決められた場所以外に捨てられていたら、「ゴミは別の場所です」と音声で注意する。
オーナーもデータを共有する。音声の用途は他にもある。家のドアフォンに組み込んだ監視カメラに、知っている宅配便の担当者が映ったら、外出先から「玄関に荷物を置いてください」と音声で依頼する。工事現場の危険な場所に近付いたら、音声で警告する。子供が帰宅したら、スマートフォンに知らせる。
防犯以外にも広がる。タクシーやトラックのドライブレコーダーにソフトモジュールを組み込み、走っている道路の渋滞や天候などのデータを収集する。高速道路に取り付ければ、観測地点の自動車の台数や時速のデータが集める。住宅メーカーが施主と建設施工現場のライブ映像から進捗を共有する。セーフィーは、こうして収集した映像データが新しいビジネスを創り出していくことに期待している。
- 田中 克己
- IT産業ジャーナリスト
- 日経BP社で日経コンピュータ副編集長、日経ウォッチャーIBM版編集長、日経システムプロバイダ編集長などを歴任し、2010年1月からフリーのITジャーナリストに。2004年度から2009年度まで専修大学兼任講師(情報産業)。12年10月からITビジネス研究会代表幹事も務める。35年にわたりIT産業の動向をウォッチし、主な著書に「IT産業崩壊の危機」「IT産業再生の針路」(日経BP社)、「ニッポンのIT企業」(ITmedia、電子書籍)、「2020年 ITがひろげる未来の可能性」(日経BPコンサルティング、監修)がある。