本連載「松岡功の『今週の明言』」では毎週、ICT業界のキーパーソンたちが記者会見やイベントなどで明言した言葉をいくつか取り上げ、その意味や背景などを解説している。
今回は、日本ユニシスの平岡昭良 代表取締役社長と、米GartnerのTed Friedman リサーチバイスプレジデント兼最上級アナリストの発言を紹介する。
「新しいサービスをデザインして実現する力を磨いていきたい」 (日本ユニシス 平岡昭良 代表取締役社長)

日本ユニシスの平岡昭良 代表取締役社長
日本ユニシスが先ごろ、今年4月1日付けで社長に就任した平岡氏の「社長就任記者会見」を開いた。同氏の冒頭の発言はその会見で、日本ユニシスの未来像における勘所を語ったものである。
平岡氏は日本ユニシスの未来像として、これまで培ってきた「ベンダーフリーでワンストップのサポート力」「完遂するシステム実装力」「さまざまな業界の顧客や新たな発想を持つベンチャー企業などとのパートナーシップ」とともに、冒頭の発言にある「新しいサービスをデザインして実現する力」を磨いていくことにより、これらを組み合わせて「新しい価値をエコシステムとして創造していける会社になりたい」と語った。
そのうえで同氏が説明した「ビジネスエコシステム構築のための4層モデル」が非常に興味深い内容だったので、ここで取り上げておきたい。図に示したのが、そのビジネス構想である。同氏によると「2年ほど前にこの原案が夢枕に出てきて、翌朝から社内の関係者を集めて練り上げていった」という。

ビジネスエコシステム構築のための4層モデル
まず一番上の1層目「フォーサイト層」は、企業や社会におけるさまざまな課題をどう解決していけばよいかを「妄想」することから始まる。2層目の「サービスコンテキスト層」は、1層目から描き出される「構想」に必要なサービスモジュールを1つ1つ創り上げていく段階だ。
3層目の「ビジネスプラットフォーム層」は、2層目で生み出されたサービスモジュールをビジネスに必要な機能として「実装」していく段階だ。そして4層目の「ICTプラットフォーム層」は、まさしくICT製品を「実装」して4層モデルのベースとなるインフラだが、ここには今後、IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)、ビッグデータ分析などのプラットフォームも加わる形になる。