デジタル人事の時代

五輪後の人口減少社会でどう働くか--デジタル化とワークスタイル変革 - (page 2)

田中公康

2016-06-21 07:00

 企業も遅まきながら、生産性の向上や人材の維持・獲得に向けて、“いつでもどこでも”働ける環境の整備と長時間労働削減の2つをテーマにワークスタイル変革に取り組み始めた。

 スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末やクラウド型ファイル共有システムなどのSMAC(Social、 Mobile、Analytics and Cloud)技術 を用いたITツールなども活用し、育児や介護者などの勤務条件に制約がある従業員でも働ける環境を整備するとともに、無駄な移動や情報共有の時間を削減していくことで効率的な働き方の推進を図っている(図2)。

図2:SMAC技術のインパクト
図2:SMAC技術のインパクト

 長時間労働に対する根本的な解決を図るべく、朝活や早帰り、インターバルなどにより総労働時間に枠をはめる試みも行われている。労働時間に制約がある人材にも活躍の機会を提供するとともに、時間あたりの生産性を意識した働き方に意識・行動の両面から移行を促すことを狙っている。

 伊藤忠商事などの例をあげるまでもなく、大手有力企業のなかにもワークスタイル変革に早期着手し具体的な成果を上げることに成功した企業も現れはじめた。先進企業の取り組みと成果が明らかになるにつれて、企業もその重要性に気づき、具体的な取り組みに着手しはじめたように見受けられる。

 実際にデロイトトーマツコンサルティング(DTC)が実施したワークスタイルサーベイ2015でもワークスタイル変革の必要性を感じている企業は81%に及んでいる。

 その一方で、ワークスタイル変革の重要性に気づきながら実施に着手しきれない企業の実情も見えてきた。先述のサーベイでも、ワークスタイル変革を実施した、もしくは実施中と回答した企業は34%に留まり、全回答企業のうち50%が「変革に関心はあるが未実施」と様子見の姿勢に留まる結果となった。危機意識を抱きながら実際の行動に移し切れない企業の姿がそこにはある。

ZDNET Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

ホワイトペーパー

新着

ランキング

  1. ビジネスアプリケーション

    生成 AI 「Gemini」活用メリット、職種別・役職別のプロンプトも一挙に紹介

  2. セキュリティ

    まずは“交渉術”を磨くこと!情報セキュリティ担当者の使命を果たすための必須事項とは

  3. ビジネスアプリケーション

    急速に進むIT運用におけるAI・生成AIの活用--実態調査から見るユーザー企業の課題と将来展望

  4. クラウドコンピューティング

    Snowflakeを例に徹底解説!迅速&柔軟な企業経営に欠かせない、データ統合基盤活用のポイント

  5. ビジネスアプリケーション

    AI活用の上手い下手がビジネスを左右する!データ&AIが生み出す新しい顧客体験へ

ZDNET Japan クイックポール

所属する組織のデータ活用状況はどの段階にありますか?

NEWSLETTERS

エンタープライズコンピューティングの最前線を配信

ZDNET Japanは、CIOとITマネージャーを対象に、ビジネス課題の解決とITを活用した新たな価値創造を支援します。
ITビジネス全般については、CNET Japanをご覧ください。

このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]