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内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」

デジタル化で変わるITベンダーとの関係 - (page 2)

内山悟志 (ITRエグゼクティブ・アナリスト)

2016-06-15 11:16

考慮すべき国内企業の特殊事情

 これまで国内企業のIT部門の多くは、企画および要件定義をインソースで行い、開発・運用などの実務部分を外部のITベンダーに委託するというスキームによる分業を行ってきました。しかし、前述のように「ビジネス要件が事前にしっかりと定まらない」「変更や拡張が繰り返される」「本番運用しながらエンハンスし続ける」といった特性を持つイノベーション案件の場合、成果物を明確に定めた請負型の業務委託契約による分業は極めて困難となります。

 要件が変化するたびに、RFPを書き直し、ベンダーからの提案・見積もりを評価して、都度契約するというプロセスを踏んでいては、ビジネスが求めるスピード感に付いていくことはできません。

 また、イノベーションの領域では、従来の企業ITの領域で行ってきたプロジェクト運営や開発手法と異なる進め方が求められることから、ユーザー企業のIT部門が保有する専門性が必ずしも通用しない場面も多いと考えられます。したがって、この分野の企画・開発・運用においても、外部の知恵とリソースを活用することが不可避となるでしょう。

 しかも、これまでのようにシステム開発・運用といった個別の請負業務の受発注という関係ではなく、構想化や企画立案の段階から、ともにイノベーションを創出するパートナーを求めることになるでしょう。コンサルティング・ファームやSI企業を含むITベンダーでは、こうしたニーズに対応するために、ビジネスデザイン手法や共創プログラムを準備しようとする動きを活発化しています。

 ユーザー企業は、単なる発注先としてのITベンダーとの関係を見直し、早期から協調して価値創出を具現化していくアライアンス・パートナーとしての関係を模索することになるでしょう。さらに協業の度合いを深めるために、資本提携や合弁会社を設立するというケースも増加すると予想されます。新規事業開発などの案件では、共同事業の推進や成功報酬型の料金モデルが検討されることもあるでしょう。

 イノベーションを求める企業は、ビジネスのパートナーとなりうるITベンダーを選別することが求められます。

内山 悟志
アイ・ティ・アール 代表取締役/プリンシパル・アナリスト
大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストとして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。現在は、大手ユーザー企業のIT戦略立案のアドバイスおよびコンサルティングを提供する。最近の分析レポートに「2015年に注目すべき10のIT戦略テーマ― テクノロジの大転換の先を見据えて」「会議改革はなぜ進まないのか― 効率化の追求を超えて会議そのもの意義を再考する」などがある。

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