ITの重要性が高まる中、”アイデアエコノミー”――クラウドとITのコモディティ化などにより、アイディアがあれば誰でもすぐに起業して既存市場を崩壊できる――の到来と既存企業のデジタルトランスフォーメーションを呼びかけるのは、米Hewlett Packard Enterprise(HPE)の最高経営責任者(CEO)、Meg Whitman氏だ。
Whitman氏は6月7日、米ラスベガスで開催した自社イベント「HPE Discover 2016」で、デジタルによる変革を実践している顧客企業を招き、会場の顧客やパートナーとそこに至る道筋を共有した。
Hewlett Packard Enterprise(HPE)の最高経営責任者(CEO) Meg Whitman氏
「われわれはアイデアエコノミーに生きている。競争はさらに激しくなり、成功は知識をとITを活用してアイデアをバリューに変えられるかが問われている」とWhitman氏。それだけでなく「これを他社より高速に、より良く実施する必要がある」と続ける。勝者と敗者を決めるにあたって、大きな力をもつのはユーザー体験だ。
新しい市場が一夜にして生まれ、新しい競合もすぐに次々と生まれる中、既存の企業は、ビジネスプロセス、顧客体験、ビジネスモデルなど土台から生まれ変わるための取り組みを進めている。これをWhitman氏は「デジタルを利用して、アイディア主導の企業に変革を遂げている」と形容する。
「IDCの予測では、60%以上の組織がデジタルトランスフォーメーションに着手したばかり。つまり、大きな変化、深いレベルでの崩壊のチャンスはこれからだ。21世紀の経済はアイディアがビジネスや政府の成功に直結する。ここで、デジタルトランスフォーメーションは不可欠だ」(Whitman氏)。
HPEは顧客のデジタルトランスフォーメーション、”What’s Next”に向けた加速を支援できるという。これまで顧客がビジネスと技術の両方でトランスフォーメーションするのを支援してきたという「実績」に加えて、「インフラの適切なミックス」を差別化に掲げる。
競争の鍵を握るアプリケーションやデータを支えるインフラは、オンプレ、パブリッククラウド、プライベートクラウドを組み合わせたものになるが、自社のニーズや環境に合わせたミックス(”適切なミックス”)の構築を支援するというメッセージだ。「どの段階にあっても支援できる専門知識、技術、ツールがある。われわれは顧客にデジタルフレームワークを作り、企業はこれを利用して成功を加速できる」という。
会期中HPEは、Helionブランドで展開するクラウド向けソリューションで、OpenStack、Cloud FoundryなどのクラウドプラットフォームとITオペレーション管理を組み合わせたDevOpsツール「Helion Cloud Suite」などを発表した。
ハードウェア側では1年前のDiscoverで発表し、12月のDicover Londonで発表したコンポーザブルインフラ「HPE Synergy」が重要な製品となる。HPEによると、Synergyは既に、Qualcommなど約100社が実験的に導入しているという。