6月8日に幕張メッセで開催されたInterop 2016でLinuxOSで最大のシェアを持つUbuntuの開発元であるCanonicalの創業者Mark Shuttleworth氏にインタビューした。Ubuntuは、CloudやOpenStackの環境においてAmazon Web Services(AWS)のマシンイメージとして70%、Microsoft Azure上のLinuxインスタンスの80%、Dockerのイメージの70%、そしてOpenStackにおいても65%(100ノード以上の大規模システムの中のシェアであり全デプロイの中だと51〜55%)程度というシェアを持つ。キーノートの後に混雑するCanonicalブースの一角という状況でペンをつかみ、紙にイラストを書きなぐりながら、熱く語った内容とは。
--Canonicalのビジネスモデルは。
Ubuntuの開発元であるCanonicalの創業者 Mark Shuttleworth氏
ビジネスモデルはサポートサービスを売ることだ。これは他のオープンソースソフトウェアのベンダーとは違いはない。われわれが得意なのは大規模なサーバ構築や運用だ。例えばもしも1台のサーバにOracleのデータベースを載せて運用するなら、Red HatのLinuxでもWindowsでもOracle LinuxでもSolarisでも選べばいい。そのような使い方ではなく何百台、何千台のサーバを使いたいのであればUbuntuを使うべきだ。
われわれはそうした使い方に合ったサービスモデルを提案しているし、実際に日本ではNECやNTT、海外でもAT&Tなど多くの企業がUbuntuを採用している。
--なぜUbuntuがパブリッククラウドやOpenStackのホストOSとして現在、大きなシェアを持っているのか。
それを説明するならキーワードはFriction(摩擦)だ。もともと開発者というのはあまりお金を持っていない。だからオープンソースは彼らにぴったりのソフトウェアだった。当然お金がないからデータベースにOracleを使うことなどないし、とにかくなるべく安くソフトウェアを開発したいと思っていた。
だから自分が持っているMacintoshのラップトップで動けば良いし、それがサーバで動けばもっと良いわけだ。サーバが必要なら直ぐに立ち上げて必要がなくなったら消せばいい。そういう意味で初めてパブリッククラウドであるAmazon Web Survices(AWS)が出てきた時はそういう開発者のニーズにピッタリ合っていた。つまり必要ではないFriction、摩擦をなくしたんだ。
そして2007年ごろにUbuntuのコミュニティの非常にスマートなメンバーが、サイドプロジェクトとしてAWSでUbuntuを素早く動かすためのハックを実施した。Linuxがサーバに使われてからもうだいぶ時間が経っているが、1台や2台のサーバにLinuxを入れて立ち上げるというのは当時から誰もがやっていて大した作業ではなかった。
1台に10~20分、それぐらいの作業時間だ。でもそれが50台、100台という規模で作業するとすれば何か工夫をしないといけない。そういう大量のサーバを立ち上げるためのハックをUbuntuのコミュニティが率先してきた。だからAWSでLinuxを使うならUbuntuが速い、それがブログや口コミでコミュニティから企業に拡がっていった。
開発者は横でつながっているからね、そういう口コミはとても重要だ。そしてそれが同じようにOpenStack、つまりプライベートクラウドでも起こっているということだと思うね。
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