日本株展望

日経平均急落--英国のEU離脱リスクと円高を嫌気

ZDNet Japan Staff 2016年06月14日 10時57分

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 6月13日の日経平均は、582円安の1万6019円と急落した。BREXITリスク(6月23日の英国国民投票でEU離脱が可決されるリスク)を嫌気して、6月6日週末に欧米株式が下落した流れが続いた。

 世界的なリスク・オフ・ムードの復活を映し、為替が一時1ドル105.70円まで円高に進んだことも嫌気された。6月13日週の米FOMC(金融政策決定会合)で利上げはなく、今週の日銀金融政策決定会合で追加緩和はないことが、ほぼコンセンサスとなっており、円高も進みやすくなっている。

 なお、6月14日日本時間午前6時現在、為替は1ドル106.16円だ。同時刻の日経平均先物(9月限)は1万5920円。13日の欧米株式は、英国のEU離脱不安を背景に続落した。このことについて、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

1万6500~1万7000円の範囲に収束しつつあった日経平均は、レンジを下へ抜ける

日経平均週足:2015年1月4日~2016年6月13日

日経平均

 上の週足チャートをご覧いただくとわかるが、日経平均は、三角もち合いを描きながら、1万6500~1万7000円のレンジに収束しつつあった。そろそろ上か下へ抜けるタイミングと考えられていたが、一旦、下へ抜けることとなった。

 ただし、心理的な節目である1万6000円はまだ割れていない。1万6000円や1万7000円などキリの良い数字は、日経平均の上値や下値のめどとなることがよくある。多くの人がその水準を意識しながら売買するので、結果的にそこが節目となる。

 今年の日経平均の動きを見ると、1万6000円を割れても、比較的短い期間で1万6000円を回復している。1万6000円は心理的な節目となっているが、CME日経平均先物はこの水準を割れており、ここが維持できるか正念場だ。

英国がEUを離脱すると何が起こるか?

 英国は、欧州の通貨統合(自国通貨を廃止して共通通貨ユーロを使用する)には入らなかったが、EU(欧州共同体)には加盟している。EU域内では、貿易には原則関税がかからず、人やモノの移動に対する障壁も原則撤廃されている。英国は、輸出の約4割がEU向けであり、関税がかからない恩恵を受けている。

 もし、英国がEUから離脱すると、まず、英国経済が深刻なダメージを受ける。これまでEUへ輸出する際、かからなかった関税が、かかるようになるからだ。これで、輸出競争力が低下する。

 EUに留まれば、EUとFTA(自由貿易協定)を結んでいる国にも関税なしで輸出することができるが、そうした協定も一旦白紙になる。英国として、個別に世界各国と自由貿易協定をやり直さなければならなくなる。世界各国と個別に交渉して自由貿易協定を結ぶには相当な時間がかかり、それまでは、英国の貿易量が縮小する懸念がある。

 日本企業では、ホンダや日立製作所が英国に工場を作っている。英国で作った製品を、EU域内に関税なしで輸出できるメリットを生かし、英国を生産拠点として活用している。ところが、英国がEUを離脱すると、そのメリットが得られなくなる可能性がある。

 英国は、日本を含むさまざまな国から直接投資(工場建設など)を呼び込み、それが英国経済を活性化してきた。英国がEUを離脱すると、英国への海外からの直接投資は激減する可能性がある。日本企業も、英国への投資には二の足を踏むようになるだろう。

 ダメージを受けるのは英国だけではない。重要な貿易パートナーを失うEUにとっても大きなダメージとなる。

 また、EUには、別の問題もある。近年、加盟各国から、EUやEUを支配するドイツに対する反感が蓄積していることだ。ギリシャはもちろん、イタリアやスペインなど、対外借金が多く、緊縮財政を続けている国々では、「緊縮を押し付けているのはEU」との不満が国民の間に広がっている。

 英国のEU離脱が実現すると、EU各国にEU離脱機運が高まり、最悪、EUの崩壊に進む可能性もないとは言えない。

 今や英国のEU離脱リスクは、EUだけでなく、世界経済全体にとってリスク要因と考えられている。6月23日に国民投票を控えてなお、世論調査では賛否が拮抗していることから、英国のEU離脱リスクの意識が世界的な株安につながっている状態だ。

 英国の国民投票は6月23日だ。それ以前に、世論調査がいろいろな形で出てくる。英国世論動向に、世界の株価も振り回されるかもしれない。

 6月13日週は、日米で金融政策が発表されるが、それ以上に、6月20日週のイベントに世界の投資家の関心が移っている。6月23日のイベント(英国国民投票)に関心が集まっている状態だ。

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