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日本株展望

なぜそこまでして英国はEUから脱退したがるのか

ZDNet Japan Staff

2016-06-15 11:42

 6月14日の日経平均は、160円安の1万5859円となった。6月23日に行われる英国の国民投票で、欧州連合(EU)離脱が可決される懸念が広がり、欧米株の下落が続いている流れを受け、日経平均も続落した。世界的なリスクオフムードの復活を受け、安全資産として円が買われ、1ドル105円台後半まで円高が進んだことも日本株の売り材料となった。

 15日の日本時間午前6時現在、為替は1ドル106.08円、CME日経平均先物(9月限)は1万5775円となっている。欧米株式は英国のEU離脱リスクが高まったことを嫌気して続落している。

 英国のEU離脱リスクについて、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

英国のEU脱退リスクが高まった

 英国の世論調査では当初、残留派が多数を占めていたが、国民投票が近づくにつれ離脱派が増えてきている。13日に発表された最新の世論調査では、離脱支持派の割合は53%と、残留派の47%を6%も上回っている。離脱支持が過半数を占める世論調査が複数出たことから、離脱が現実のものとなりつつあると考えられ、欧州株の下げに拍車がかかった。

 前回、「英国がEUを離脱すると何が起こるか?」のところで「まず、英国経済が深刻なダメージを受ける。EUにも深刻なダメージが及ぶ。EUだけでなく、世界経済全体にマイナス影響が及ぶリスクがある。英国のEU離脱リスクへの意識が世界的な株安を招いている」と書いたところ、多数の読者の方から「英国民が考える離脱メリットは何か」という質問をいただいた。今日はそれに回答する。

EU離脱を望む経済的理由と心情的な理由

 英国民がEU離脱を望むのは、経済的理由と心情的な理由がある。まず、経済的な理由から解説しよう。最も大きい不満はEUに巨額の負担金を取られていることだ。

(1)EUに取られる巨額の負担金に英国民の不満が蓄積している

 EU運営に必要な予算に対し、EU各国に負担が割り振られている。負担は経済力の強い国が大きく、経済力の弱い国が小さくなる仕組みだ。ドイツが最も大きな負担金を出している。英国はオランダやフランスなどと並び、大きな負担金を強いられている。EUから離脱すると、負担金を免除されるので離脱派はその利点を訴えている。

 EU予算の約半分は農業対策に使われている。英国は寒冷な気候のため、農業は大きな産業ではなく、EUから受ける農業支援金はほとんどない。負担金から支援金を差し引いたネットの負担額では、ドイツが最大だが、英国も同じように大きな負担を強いられている。

 これに対し、経済力の弱い国は負担金が少なく、多くの支援金をEUから受けている。ギリシャはEUから受けている支援額が最大だ。

 EUはこれまでギリシャ支援に巨額の資金をつぎ込んでいる。将来、ギリシャに追加の支援が必要になった時、英国にも追加負担を求められる可能性があることが、英国民にとって頭の痛い問題となっている。

 ギリシャだけでなく、ポルトガルやスペインなどEUには対外債務の大きい国が多数ある。英国民は、EUの低信用国を支えるため英国の税金が使われることに納得できないと考えている。

(2)EUからの移民流入を規制できないことへの不満

 EU内は自由に人が行き来できるようにルールが定められている。その結果、2000年代以降にEUに加盟した東欧諸国から英国やドイツなど西側諸国へ移民が増えている。英国にも、年25万人程度の移民が流れ込んでいるが、その約半分がEUからの移民だ。

 移民は低賃金の労働者となり、英国経済を支えてきたが、最近は、移民増加のペースが高まったことから英国の低賃金労働者と競合が起こっている。さらに最近、欧州と米国で、移民が引き起こす犯罪やテロが問題化していることも影響して、英国を含め欧州各国で反移民運動が広がっている。

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