それでも、特に職員のデスクトップについては、まだやるべきことがある。「Microsoft Officeを置き換えることから始めた」とVilloslada氏は説明する。「無料オフィススイートの『LibreOffice 5』のおかげで、異なるバージョンのMicrosoft Officeドキュメントの互換性問題を克服できるだろう。1000本のOfficeライセンスを有しているが、もう不要だ。そして、2007年に購入した5500本のライセンスを更新する計画はない」(Villoslada氏)
この計画に続いて、OSも変更することになる。職員は現在「Windows 7」を使っているが、「Windows 10」にはアップデートせず、「GNU/Linux」に変更したいとVilloslada氏は考えている。
「ユーザーが数年前ほど『Windows熱』にとらわれていない状況をうまく生かすべきだ。今は誰でもさまざまなOSや機能を備えるタブレットやスマートフォンを使うことができる。PCでも多様化は可能だという発想を育てていかなくてはならない」(Villoslada氏)
さらにVilloslada氏は州政府の電子メールシステムも変更したい考えだ。
「電子メールなど一部のサービスは、サービスとして契約可能な商品であると州政府は考え始めるべきだ。ただし、監査で求められる保証に対応し、今後危険をもたらすことのないものであることが条件だ」とVilloslada氏は述べる。
Villoslada氏は同じようなやり方で、オープンソースの企業クラウドソフトウェアをさらに利用したいと考えており、オープンソースで自己ホスト型のファイル同期共有アプリケーションプラットフォーム「ownCloud」やオープンソースのエンタープライズコンテンツ管理プラットフォーム「Alfresco」を利用する新サービスを導入した。さらに、SAPの代替としてオープンコア方式の統合業務管理スイート「Odoo」を導入した。
政府が開発に参加していない無料のオープンソースソフトウェアを使う場合には、そのプロジェクトに寄付する手段を探すようにしていることをVilloslada氏は明らかにしている。
Villoslada氏は、こうしたオープンソースへの大規模な移行による、金銭的な観点での投資へのリターンはないと隠さずに述べている。
「われわれにとってのリターンは、10年以内にオープンソースになっていることだ。好むかどうかにかかわらず、止めることはできない。反対は無意味だ。この点は私にとってはっきりしている」とVilloslada氏は述べる。
「デジタルなバレアレスに向けた次なる課題は大きい。そしてそうしたことにこたえる準備ができていなければ無責任だろう。政府は必要なインフラの開発を促し、将来と向き合う態勢をさらに整えていく義務がある」(Villoslada氏)
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。