佐賀大、佐賀県、オプティムが殺虫機能搭載ドローンでの農薬害虫駆除に成功

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2016-06-16 20:51

 佐賀大学農学部と佐賀県農林水産部、オプティムは6月15日、三者連携協定の取り組みの中で、オプティムが開発した殺虫機能搭載の「アグリドローン」を活用し、夜間での無農薬害虫駆除を目指した実証実験に、世界で初めて成功したと発表した。


 佐賀大学、佐賀県、オプティムは2015年8月にIT農業に関する三者連携協定を締結している。「楽しく、かっこよく、稼げる農業」というコンセプトのもと、世界No.1となるIT農業の実現を佐賀から行おうという取り組み。産学官の三者による連携協定を行うことで、各々が持つ技術の融合を図り、技術開発の効率化、加速化、高度化、そして現場技術として生産者の方に着実に適用できるものが構築されると期待しているとのこと。


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 その三者連携において、農薬を使わずに害虫を駆除する手法として、夜間に殺虫器を使えば効果的かつ農薬を使わず害虫を取り除けるのではないかという仮説を立てたという。夜行性の害虫は天敵の鳥を避けて昼間の間は葉の裏に潜り、夜間表面に出てきて活動することが多い特性をもっているためだ。

 今回使われたドローンは、IT農業に有効な各種機能を搭載し、夜間自動飛行と殺虫器による自動害虫駆除を行うことができる。実証実験では、このアグリドローンが、農家の農作業負荷を減らし農作業の質を高めることを可能とするかどうかを検証した。そして殺虫できた害虫を調査したところ、夜行性の甲虫、ガ、ユスリカ、ウンカなど、約50匹程度を殺虫することができていました。この中には、産卵孵化後に作物に対して影響を及ぼす害虫も含まれており、本仮説の有効性を確認することができたという。

 アグリドローンの主な特徴は以下の通り。

夜間での無農薬害虫駆除

 世界初となるドローン対応殺虫器を搭載。害虫が活発に活動する夜間にドローン飛行を実施することで、農薬を使用することなく害虫駆除が行える。

自動飛行機能

 設定されたルートを自動で飛行するため、オペレータの負担を大幅に軽減することが可能。

カメラ切替機能

 ドローンに搭載されているカメラ(近赤外線カメラ、サーモカメラなどマルチスペクトル撮影)を用途に応じて切り替えることができる。

ピンポイント農薬散布

 病害虫が発生している箇所を自動で解析を行いピンポイントで農薬を散布することで、不必要な箇所への農薬散布をせず、農作物を育てることができる。


 三者は今後、連携して作物品目ごとの害虫駆除手法の確立と精度の向上に努め、農薬を使わずに害虫駆除を行うことで、「夜の農業革命」を目指していくとしている。特に稲の害虫であるウンカでは、産卵孵化後に稲に対して深刻な被害を与えることがあるため、ウンカの飛散直後に駆除することで、産卵孵化後の虫害を減らすことが期待されるという。将来は夜間に定期的に自動飛行することによって減農薬や無農薬へ貢献していきたいとのこと。

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