スキャリティ・ジャパンは6月16日、オブジェクトストレージに対応するソフトウェア制御ストレージ(SDS)ソフトの最新版「Scality RING v6.0」の提供を開始した。
オブジェクトストレージサービス「Amazon Simple Storage Service(S3)」に対応した製品としてMicrosoftのActive Directory(AD)とAmazon Web Services(AWS)のIdentity and Access Management(IAM)に同時に対応する。AWS S3ベースのアプリケーションのエンタープライズ環境での導入が可能になるという。
オブジェクトストレージは、大規模のパブリッククラウドまたはプライベートクラウドなど圧倒的な拡張性や性能の向上が必要とされる領域で導入、浸透が進んでいる。だが、これまでのところ、標準化されたAPIが存在しないこと、主要なシングルサインオン(SSO)システムと統合できなかったことなどからあまり大きく広がってきたとは言えないという。
新版は、こうした課題に対して、ADとIAMへ対応し認証とユーザー管理を強化、かつSAML 2.0にも対応した新しいS3 APIを提供することにより、オンプレミスやクラウド、さらにはハイブリッドクラウドでの展開など、今後のアプリケーション開発に際してさまざまなデプロイメントの可能性が開けるとしている。
RING v6.0はすでに各国のベータカスタマーで十分にテストされ、その優れた効果を実証しており、エンタープライズユーザーなどより多くのユーザーが利用できる段階に至っていると説明する。
新版のRINGは、読み込みや書き込み、リスティングの処理で性能を前版よりも向上させていると説明。日本の大手インターネット事業者は、競合製品よりも5~10倍の性能向上があるとしている。
また新版は、米証券取引監視委員会(SEC)が求める“ルール17a-4”にも対応している。同規定は、取引情報は6年以上保存する必要があり、最初の2年間は容易に検索可能な状態であることを求めている。新版は、ファイルを書き換え、消去できないWORM(Write Once Read Many)機能を搭載している。
またファイルプロトコルを利用する差異の機能も強化。コネクタサーバが自動的にフェイルオーバーする機能も実装している。単一ディレクトリに対する並列、複数からの同時書き込みでの性能も向上させることで、バックアップなどの性能が向上したとしている。
RINGのS3ストレージ機能をオープンソースソフトウェアとして利用できる「Scality S3 Server」も同日に発表された。標準的なS3のAPIをすべてサポートしている。Node.jsで開発されるS3 Serverは、Dockerのイメージとして配付される。
Dockerベースであることから、ノートPCにも導入でき、S3ベースのアプリケーションの開発をローカルで完結させることもできる。ほとんど活用していないマシンを利用して、オブジェクトストレージを習得したり、テスト環境の構築したりすることもできる。本番環境に導入することで、S3に対応するバックアップソフトウェアのバックアップ先とすることも可能と説明している。