「元々はITシステムを管理するサービスだが、IT部門全体を管理するサービスへ、さらには企業のビジネス全体を管理するサービスへと管理対象を広げてきた」。ITSM(ITサービス管理)の機能群をSaaS型のクラウドサービスとして提供しているServiceNow Japanは6月16日、管理対象がITシステムを超えて拡大しているというITSMサービスの動向を解説した。
ServiceNow Japanの中核サービスは、ITSM(ITサービス管理)だ。ヘルプデスクやインシデント管理といった、いわゆるITIL(IT Infrastructure Library)がカバーしている運用管理の領域を担う。ITSMを運用していくために必要なワークフローなどの機能群や、管理データを格納するリポジトリなどをクラウド上で提供する。
ServiceNow Japan社長 村瀬将思氏
「現在ではITSM分野の売り上げが多くを占めているが、2020年時点では全体の売り上げの50%がITSN分野で、残りの50%はIT部門や全社業務を管理するサービスなどの新しい分野の売り上げが占める」。ServiceNow Japan社長の村瀬将思氏は、同社が提供するサービスの動向をこう説明する。
ITSMに次ぐ管理対象の分野は2つある。1つは、ITシステムの運用を管理する「オペレーションマネジメント」だ。ITリソースのディスカバリ(発見)、システム間の依存関係を含めたシステム構成図の生成、システム構成を自動化するオーケストレーション、クラウド管理、イベント管理、といった機能群を提供する。
もう1つ、オペレーションマネジメントに次いで管理対象となる分野が、ビジネス活動全般を管理する「ビジネスマネジメント」だ。IT部門の活動に近いものでは、プロジェクト管理、リソース管理、要求管理、テスト管理、監査、ベンダー管理、リスク管理、財務管理、などの機能を提供する。
ITシステムを運用管理するテクニックを全社業務に適用する
現在同社が注力していることは「IT分野ではないビジネス分野の業務に、ITSMで培った運用管理の技術を適用すること」(村瀬氏)。この例の1つが、業務ワークフローの開発機能だ。人事業務など、任意のビジネスにおけるワークフローをシステム化してSaaS型で利用することができる。
「業務のワークフローは、いまだにEメールや電話などが担っている。メッセージの伝達が構造化されていないので、効率が悪い」(村瀬氏)。ここにITSMのワークフロー技術を適用することによって、業務のフローが円滑に実施されるようになるという狙いだ。
業務ワークフローは、ウェブブラウザ上で開発できる。各種業務向けにテンプレートを用意しており、これをカスタマイズするだけで利用を始められる。さらに、JavaScriptなどを用いて、業務に合わせたワークフローを一から設計することもできる。
さまざまな業務システムや第三者のSaaSアプリケーションを束ねる業務ポータル機能も提供する。SaaSクラウドサービスから社内システムにアクセスするために必要な、オンプレミスに設置するアクセス仲介サーバソフトも用意している。オンプレミス側からSaaS側にコネクションを張っておき、このトンネルを介してSaaSから社内システムにアクセスする仕組みだ。