米ZDNet編集長Larryの独り言

マイクロソフトによる262億ドルのLinkedIn買収で何が生まれるか? - (page 2)

Larry Dignan (ZDNet.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎 2016年06月22日 06時00分

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 Pacific CrestのアナリストEvan Wilson氏は、調査ノートで次のように述べている。

 LinkedInは独自のデータセットを所有している。同社はユーザーの職場や、肩書き、仕事上関わっている人とのつながりの多くに関する情報を持っている可能性が高い。これは従来のCRMは欠けていたデータセットだ。従来のCRMでは、ユーザーは、空のデータベースに常に情報を入力し続ける必要があった。もし適切に統合されれば、このデータセットはMicrosoftにとって重要な資産となる。


 しかし、エンタープライズソフトウェアの観点を忘れるわけにはいかない。Microsoftは、LinkedInがLynda.comの買収後にやろうとしていた事業の実現を支援することができる。Lynda.comは動画を使ったオンライントレーニング授業を提供する事業だ。LinkedInがLyndaを買収した際、同社のCEOであり、買収後も引き続きLinkedInの経営を担う予定であるJeff Weiner氏は、人々がプロフェッショナルとしてどのように働き、人と関わっているかを示すエコノミックグラフを完成させることについて話していた。しかし、LinkedInは事業を多角化を進めることができず、市場の失望を招いていたとWilson氏は述べている。「LinkedInが事業を大幅に多角化する能力に対する金融市場からの信頼を失っていた。Microsoftとのパートナーシップは、新たな期待を与えてくれるものだ」と同氏は書いている。

 Weiner氏はブログ記事で、LinkedInはGoogleなどの大企業と競争できる資源と能力を獲得するだろうと述べている。同氏はまた、MicrosoftとLinkedInは、異なる領域から同じ目標を目指していると付け加えた。

 Weiner氏が示した合併後に考えられる事業例でも、エンタープライズHRが挙げられている。LinkedInはエンタープライズソフトウェアにも関心を持っていたが、その領域に踏み込むための知識を持っていなかった。そしてMicrosoftに加わった。Weiner氏は、買収後のMicrosoftとLinkedInの共通のゴールとして、次の3つを挙げている。

 Lynda.comとLinkedInの学習ソリューションを、Officeやその他いくつかの、世界でもっとも人気が高い生産性アプリとを緊密に統合することにより、学習と人材開発のあり方を変えるというわれわれの目標を加速すること(Lynda.comでもっとも人気のあるトップ25のクラスのうち、6つがMicrosoft製品に関連するものだ)。

 Microsoftとパートナーシップを組み、企業内のもっとも破壊的な改革の機が熟したソリューション(企業ディレクトリ、企業ニュース提供、コラボレーション、生産性ツール、ビジネスインテリジェンスおよび従業員の意見の流通など)でイノベーションを起こすことにより、LinkedInが持つ、世界の仕組みを真に変える潜在能力を実現すること。

 採用活動や学習および人材開発以外にも枠組みを拡大し、従業員の採用、管理、士気向上、指導などに関わる、組織内のあらゆる部門に価値を提供すること。この人的資源の分野には大きなビジネスチャンスがあり、Microsoftにとってはまったく新しい事業分野となる。

 簡単に言えば、MicrosoftとLinkedInは、人事ソフトウェアなしでは、この新たに到達可能なトータル市場にアクセスすることはできないということだ。

MicrosoftのLinkedIn買収

 Microsoftは人事に特化したアプリケーションを持っていないかもしれないが、LinkedInを買収したことにより、今後多くの接点を持つことになる。もしかすると、人材管理アプリができることの多くはOfficeでも可能かもしれない。MicrosoftがHCMソフトウェアをリリースのもそう遠くはないだろうと筆者は予想している。

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

ZDNet Japan 記事を毎朝メールでまとめ読み(登録無料)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

SpecialPR

連載

CIO
教育IT“本格始動”
月刊 Windows 10移行の心・技・体
ITアナリストが知る日本企業の「ITの盲点」
シェアリングエコノミーの衝撃
デジタル“失敗学”
コンサルティング現場のカラクリ
Rethink Internet:インターネット再考
インシデントをもたらすヒューマンエラー
トランザクションの今昔物語
エリック松永のデジタルIQ道場
研究現場から見たAI
Fintechの正体
米ZDNet編集長Larryの独り言
大木豊成「仕事で使うアップルのトリセツ」
山本雅史「ハードから読み解くITトレンド放談」
田中克己「展望2020年のIT企業」
松岡功「一言もの申す」
松岡功「今週の明言」
内山悟志「IT部門はどこに向かうのか」
林 雅之「デジタル未来からの手紙」
谷川耕一「エンプラITならこれは知っとけ」
大河原克行「エンプラ徒然」
内製化とユーザー体験の関係
「プロジェクトマネジメント」の解き方
ITは「ひみつ道具」の夢を見る
セキュリティ
セキュリティインシデント対応の現場
エンドポイントセキュリティの4つの「基礎」
企業セキュリティの歩き方
サイバーセキュリティ未来考
ネットワークセキュリティの要諦
セキュリティの論点
スペシャル
エンタープライズAIの隆盛
インシュアテックで変わる保険業界
顧客は勝手に育たない--MAツール導入の心得
「ひとり情シス」の本当のところ
ざっくり解決!SNS担当者お悩み相談室
生産性向上に効くビジネスITツール最前線
ざっくりわかるSNSマーケティング入門
課題解決のためのUI/UX
誰もが開発者になる時代 ~業務システム開発の現場を行く~
「Windows 10」法人導入の手引き
ソフトウェア開発パラダイムの進化
エンタープライズトレンド
10の事情
座談会@ZDNet
Dr.津田のクラウドトップガン対談
Gartner Symposium
IBM World of Watson
de:code
Sapphire Now
VMworld
Microsoft Inspire
Microsoft Connect()
HPE Discover
Oracle OpenWorld
Dell Technologies World
AWS re:Invent
AWS Summit
PTC LiveWorx
吉田行男「より賢く活用するためのOSS最新動向」
古賀政純「Dockerがもたらすビジネス変革」
中国ビジネス四方山話
ベトナムでビジネス
日本株展望
企業決算
このサイトでは、利用状況の把握や広告配信などのために、Cookieなどを使用してアクセスデータを取得・利用しています。 これ以降ページを遷移した場合、Cookieなどの設定や使用に同意したことになります。
Cookieなどの設定や使用の詳細、オプトアウトについては詳細をご覧ください。
[ 閉じる ]