「ハイブリッドプライベートクラウド」はミドルウェアや開発フレームワークにも影響を及ぼす
調査では、これら3つのプライベートクラウド形態に対し、ユーザー企業はどのような点をメリットまたはデメリットと考えているのかを把握するため、それぞれの形態について、「導入しても良いと考える理由(導入のメリット)」と「導入しない理由(導入におけるデメリット)」を尋ねている。
以下のグラフは、調査で用いた全20項目の選択肢のうち、「アプリケーションの新しい開発/運用の手法を利用できる」および「自社固有のハードウェア環境を取捨選択することができる」の2つの選択肢における回答結果をプロットしたもの。

オンプレミスプライベートクラウドでは、3つの形態の中で従来のオンプレミス環境に最も近いことからか、前者の回答割合が低く、後者の選択肢の回答割合が高くなった。逆に、前者の回答割合が3形態のうち最も高くなったのがハイブリッドプライベートクラウドで、クラウドで培われたシステム基盤の成果をオンプレミスに持ち込みやすい点が影響している。
PaaSの領域まで視点を広げると、Microsoftの「Microsoft Azure」やIBMの「Bluemix」と同等の環境をオンプレミスのサーバ上に構築できる「Windows Azure Pack / Microsoft Azure Stack」や「Bluemix Local」なども登場してきている。これらも広い意味ではハイブリッドプライベートクラウドと同様の流れと捉えられる。
このように「ハイブリッドプライベートクラウド」はミドルウェアや開発フレームワークにも今後影響を与える可能性がある。この流れはサーバの提案/販売を主な業務とするベンダ-や販社だけでなく、システム開発/運用を主体とするSIerなども注視してくべきポイントと考えられる。
残るホステッドプライベートクラウドは、上記2つの形態の中間的な回答割合を示しているが、サーバH/Wを占有できるとはいえメーカー/機種の選択やシステム構成をユーザー企業が全て自由に決められるわけではない。こうした自由度はクラウド事業者によって異なっており、今後は費用面との兼ね合いも含めて自由度の高さが差別化要因の1つになってくると予想される。
調査は日本全国/全業種の年商500億円未満の中堅中小企業で「企業経営もしくはITの導入/選定/運用作業」かつ「サーバの導入/管理の意思決定または実作業」に関わる職責の人物を対象として5月中旬に実施された。有効回答は328件。