住友理工は、グローバル展開にあわせ、基幹システムのプライベートクラウドへの統合を推進、グループ会社ごとの帳票ツールを共通基盤化した。これにより、各業務部門やグループ会社の大きな負担となっていた初期費用やオペレーションにまつわる工数を削減するとともに、大量印刷にも容易に対応できる体制を確立したという。ソリューションを提供したウイングアーク1stが6月21日に公表した。
住友理工は現在23カ国105拠点で事業を展開しており、2016年1月にはこれら拠点を管理・統括するグローバル本社を名古屋・名駅エリアに新設、グローバル化を推進している。一方、M&Aによって新たにグループに加わった企業も多く、事業運営を支えていく強固な基盤が必要とされていた。具体的には、システムごとに帳票ツールが個別実装されており、各業務部門やグループ会社には初期費用やライセンスコスト、日々のオペレーションが大きな負担となっていたほか、ホストダウンサイジング対応に伴うホスト帳票の大量印刷の移行についても対応が必要だったという。
これに対し同社では、経営ビジョンとあわせ、情報システム基盤の統合を推進。2012年に新設された自社データセンターでプライベートクラウド環境を稼働し、基幹システムの再構築・移行を進めている。そして基幹システムの再構築に伴い、システムごとに個別実装されていた帳票ツールをデータセンター内の仮想化された帳票サーバに集約する共通基盤化を目指していた。
そこで採用されたのが、ウイングアーク1stの帳票基盤ソリューション「SVF」だった。主な選定理由は以下の通り。
- ホスト帳票などの大量印刷にも容易に対応できる
- 既存の帳票フォーム約900種の資産を機械的にコンバートして移行できる
- 共通の業務システム開発基盤「楽々 Framework」(提供元:住友電工情報システム)との親和性が高い
SVFをベースとした「統合プリントシステム」は2015年7月に稼動した。ホストのダウンサイジングや部門の基幹システムで利用されており、月間20万件を超える帳票印刷のリクエストに対応、24時間365日ノンストップでトラブルなく安定した運用を続けているという。また、データセンターや各拠点で運用しているプリンタ、スプール情報、ユーザー情報を一元管理・監視し、工場内のプリンタの異常などもサーバ側で印刷エラーとして検知、対応のスピードが向上するとともに、システム部門や現場作業員の運用負荷が低減されたとのこと。
住友理工では現在、IT利用の“可視化“を目的に、プライベートクラウドの利用量やITリソースを“ITサービスメニュー”としてメニュー化しており、帳票の印刷コストについても“見える化“を実施している。さらに今後は、グローバルデータウェアハウスを構築し、その中で帳票データも一元管理することで、様々な業務の効率化とスピードアップや、電子文書化対応、グローバル対応を進めていく予定という。