AWSがもたらす開発部門の変革とは:キヤノン
キヤノン 映像事務機事業本部映像事務機DS開発センター所長 川本浩一氏
2011年から画像系クラウドサービスを提供しているキヤノンは、その開発構造が画一主義的なため、拡張性やコスト削減、開発・運用の容易性など課題が多かったという。「AWSに移行することで、(諸問題が)改善できないかが出発点だった」(キヤノン 映像事務機事業本部映像事務機DS開発センター所長 川本浩一氏)。
同社は、自社のアプリケーションをマイクロサービス化することでインフラの可視化を実現している。すでに、「各種アプリケーションの部分最適化やシステムの複雑化が進んでおり、レガシーな考え方に捕らわれてイノベーションが起きない」(川本氏)状態になっていた。そのため、疎結合で独立した組織が、自立した意思決定とCI(継続的インテグレーション)によって、開発のスピードアップと技術革新を起こすことを狙い、AWSの導入に踏み切ったという。
キヤノンがAWSを選択した理由の1つが、APIによるコミュニケーション。「互いの独立性を担保し、APIを通した会話が可能」(川本氏)になるため、疎結合で明確な責務を持ったチームが相互作用を生み出すという。
AWS導入にあたっては、3つの仮説を立てた。(1)開発~運用フローを自動化すればCIが可能になる、(2)AWS APIで相互作用する組織に変化すればAWSと同じ高速なイノベーションを起こせる、(3)APIのよるデータの可視化でイノベーションは加速する--。
キヤノンがAWSを使って作り上げたCIプラットフォーム
川本氏によれば、これらの仮設はすべて証明されたとし、AWS APIを指して「組織を変える威力がある。高い理想の実現に応えてくれる」と高く評価した。AWSを用いてCIプラットフォームを構築した結果、アプリケーション開発について「監視や通知、監査まですべての管理が可能になった。すべてを可視化したことで、意思決定がデータに基づいて行えるようになった」(川本氏)。キヤノンではAWS移行により、コード量や運用コストは5分の1、スループットは2倍、インフラコストや評価工数は4分の1になったという。