広島赤十字・原爆病院は、ICT基盤を支える複数の無停電電源装置(UPS)の集約と監視管理ソフトウェア導入により、10年で60%のコスト削減と運用の効率化を実現した。製品を提供したシュナイダーエレクトリックが6月28日、発表した。
広島赤十字・原爆病院では、2004年の電子カルテ導入以来、院内各部門の要望に合わせてさまざまなICTシステムの整備も進めており、サーバやネットワーク機器の増加に伴い、停電や電源トラブルに備えるため、小型UPSも都度導入してきた。しかし、この小型UPSが132台にも及び、それぞれ定期的なバッテリー交換が必要であることから管理と運用コストの増加が問題となっていた。また、サーバルームに設置されているICT機器や室内の電力、温・湿度の管理においても、機器に設置された計測器を目視で確認する運用を行っており、異常に気づくのがトラブルの発生した後になってしまうといった課題もあった。
そこで新棟建設に合わせてサーバルーム改革を計画し、医療を支えるICT基盤として止まることのない信頼性を保つと同時に、効率的な運用によるトータルコスト削減を検討した。その結果、シュナイダーエレクトリックのUPS「Symmetra PX」で全サーバとネットワーク機器のUPSを集約すると同時に、データセンターインフラ管理(DCIM)ソフトウェア「StruxureWare Data Center」によりICT環境とファシリティ環境を一括管理することで、運用効率の向上を図ることとし、2015年9月に本格稼働を開始した。
導入のポイントは以下の通り。
UPSの集約
全てのサーバとネットワーク機器の小型UPSを1台のSymmetra PXに集約。通信の可用性を図るため、各フロアに設置されたスイッチ群も含めた、病院内のあらゆるICT機器のUPSとして活用。運用効率化と将来的な拡張性を実現し、導入後10年間のイニシャルおよびランニングコストを60%削減。
監視管理ソフトウェアの導入
StruxureWare Data Centerによりデータセンターのライフサイクルを正しく管理する基盤を構築、サーバルーム内のUPSやラック、電源、空調などのハードウェア機器情報のみならず、電力容量や温・湿度など環境を含めた情報を一元管理。サーバルーム内の物理的なレイアウトや機器搭載を含む複雑なICT環境と、仮想化環境をともに可視化し、日常的な運用・管理を可能にした。
3D温度分布や消費電力の実測表示とシミュレーションにより、障害予知やICT機器の活用の最大化を実現し、リスク回避と効率化を両立、迅速な障害・予兆感知が可能となった。
3D温度分布のイメージ