ウィンブルドンを盛り上げるIT活用の匙加減--公衆WiFi無し、データ収集は人の手で - (page 2)

Steve Ranger (ZDNET.com) 翻訳校正: 石橋啓一郎

2016-07-02 06:00

 大会が行われる2週間の間、IBMは13日間にわたり19のコートで、サーブ、ポイントやフォルトなどをはじめとする320万件のデータポイントを、100%の目標精度と1秒未満の応答速度で収集する。

 「よく聞かれる質問に、『なぜ(データ収集に)人間を使うのか』というものがある。その答えは、われわれが必要とするスピードと精度を満たし、フォーストエラーやアンフォーストエラーの間の微妙さや細かな差異を判断するには、必要なスピードで情報を解釈できる人間や優れたテニス選手が必要だからというものだ」とSeddon氏は言う。

 また、AELTCは一部のテクノロジを重視してはいるが、あまり重視していないものもある。例えば、会場では公衆WiFiは提供されていない。その理由の1つには、大会では非常に広いエリアを使用しており、閉じたスタジアムでWiFiを提供するよりも難しいということもあるが、AELTCは、WiFiのメリットが明確になっていないからだとも述べている。

 一方、観戦者がTwitterを見るよりも、コートで起こっていることに注意を払うような環境を作るべきだという意見もある。

 AELTCのコマーシャルおよびメディアディレクターMick Desmond氏は「会場に人が集まるのは、テニスを観戦するためだ。これは極めて濃密な空間であり、ウィンブルドンのブランドの一部は、コートで起こっていることをいかに守るかに掛かっているという意識がわれわれにはある」と述べている。

 一部の選手は、プレーを記録する機能を持つラケットをネットワークに接続するなど、モノのインターネット(IoT)にも手を出し始めているが、このデータはIBMには提供されない。

 「これはわれわれのデータではなく、自分のプレーに関する選手のデータであり、選手にとっては極めて役に立つだろう」とSeddon氏。「確かに、将来はIoTを活用できるチャンスがあるかもしれないが、まずビジネス上のニーズを理解する必要がある」

この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。

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