AIがアドバイスする幸せな仕事のやり方--日立が営業600人で実験

日川佳三 2016年07月01日 07時00分

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日立グループの営業部門約600人を対象に実証実験を開始した
日立グループの営業部門約600人を対象に実証実験を開始した

 日立製作所は6月27日、社員の幸福感の向上に有効なアドバイスを、各個人の行動データから日々自動的に作成する技術を開発し、この6月から日立グループの営業部門約600人を対象に実証実験を開始したと発表した。実証実験の成果を踏まえ、早ければ2016年度から2017年度にかけて商用サービス化する。

 各個人の大量の行動データを名札型ウエアラブルセンサから取得し、人工知能「Hitachi AI Technology/H」(H)で分析し、職場でのコミュニケーションや時間の使い方など、一人ひとりの幸福感の向上につながる行動についてのアドバイスを自動的に作成して配信する。社員は、スマートフォンやタブレット端末で日々のアドバイスを確認し、職場での行動に活用できる。

社員のスマートフォンに幸福度の計測データをフィードバックする。組織活性度(集団の幸福度)や、社員の貢献度などが分かるほか、行動に関するアドバイスが得られる
社員のスマートフォンに幸福度の計測データをフィードバックする。組織活性度(集団の幸福度)や、社員の貢献度などが分かるほか、行動に関するアドバイスが得られる

組織向けレポートではなく個々の社員へのアドバイスを自動生成

 同社は2015年2月に、名札型ウエアラブルセンサを使って集団の組織活性度(幸福度)を測るシステムを発表済み。これは、組織へのアドバイスをレポートにまとめ、管理職に提供するサービスだった。その後の1年で、三菱東京UFJ銀行や日本航空など13社が同システムを使い始めた。

 今回新たに、管理職向けのレポートではなく、個々の社員へのアドバイスを日々自動で生成し、社員に対して直接配信できるシステムを開発した(図1)。どんな行動が増えれば幸せになるのかを自動で分析した上で、「日立一郎さんともっと会話しましょう」といったアドバイスを個々の社員のスマートフォンに表示する。

 名札型ウエアラブルセンサは、幸福度を計測するために体の動きのパターンを計測する加速度センサと、誰と会っているのかを計測する赤外線センサを搭載している。これにより、幸福度と人とのコミュニケーション状況を組み合わせて分析できるようになっている。

 実証実験では、名札型ウエアラブルセンサに約1日分のセンサデータを蓄積しておき、社内に設置した専用クレードルにUSBで接続して有線接続でデータを吸い上げる。アドバイスのデータは毎朝送る。

加速度センサで幸福度は測れる、動きの多様性=幸福

 同システムは、加速度センサで幸福度が測れるという大前提に立っている。同社が調査したところ、幸福度に関するアンケート調査と、加速度センサから得られたデータとの間には強い相関があった(相関係数は0.94)。データは、7社、10組織、468人、5000人日から取得し、総データ数は50億点に及ぶ。アンケートは、過去1週間に関する20の質問に0点から3点の4段階で回答させ、組織ごとに集計した。

 「相関係数が0.94というのは、アンケートなどやらなくても加速度センサさえあれば組織の幸福度を計測できるレベルだ」(日立製作所、研究開発グループ技師兼人工知能ラボラトリ長の矢野和男氏)

日立製作所、研究開発グループ技師兼人工知能ラボラトリ長の矢野和男氏
日立製作所、研究開発グループ技師兼人工知能ラボラトリ長の矢野和男氏

 幸福度と相関する加速度センサのデータとは、動きの多様性だ。静止している時間と静止していない時間がどのような長さで交互にやってくるかを計測したとき、このパターンが複雑で多様性があると幸せを感じ、パターンが単純で多様性が少ないと幸せを感じない、という相関があったという。この動きの多様性の大きさを、同社は組織活性度(幸福度)と呼んでいる。

 加えて、組織活性度(幸福度)が高い組織ほど、結果として生産性が高いことが分かったという。例えば、コールセンターにおいては、組織活性度が高い日は低い日と比べて受注率が34%向上したという。店舗においては、組織活性度が高い日は低い日と比べて顧客単価が15%向上した。

今回新たに、幸福度のデータから社員向けアドバイスを自動で作成・配信できるようにした
今回新たに、幸福度のデータから社員向けアドバイスを自動で作成・配信できるようにした

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