多様な業界を顧客としているテクノロジ企業も、取引を失うことを予想すべきだ。Gartnerは欧州での政府契約に依存している企業に対して、景況の悪化を予想すべきだと警告している。
またForresterは、企業は法人顧客やパートナーが、少なくとも事業の一部を英国外に移すことに備えるべきだとし、「グローバルな製造業および自動車会社も、イノベーションセンターを英国外に移転」させ、また「ロンドンの金融サービスの支配力やフィンテッククラスタも欧州大陸に移る」と示唆している。
Koetzle氏は、「Quick Take: UK Firms Must Drive Innovation In The Age Of The Customer」と題したレポートで「英国から欧州へ移転する最大の産業は金融サービス業だ」と述べている。
「いずれかのEU加盟国で監督されている金融サービス企業は、すべてのEU加盟国での営業が許可されるという『パスポート』ルールの対象から、英国の銀行やその他の金融サービス企業が外れる可能性がある。EU企業が英国の銀行を利用できなくなれば、欧州諸国の銀行は嬉々としてその後釜を狙うだろうし、現在は活気があるロンドンのフィンテッククラスタも、それらの銀行に追従して移転するだろう」
一部の企業は、従業員を海外に移す可能性を示唆している(たとえば、HSBCは従業員1000人を英国外に異動させるという話が出ている)が、まだ主要な企業からはそのような議論は出ていない。
先日までCameron首相退陣後の首相候補の1人とされていた保守党の有力議員Boris Johnson氏は6月26日、英国企業が基本的に同じ条件で営業を継続できるような関係をEUとの間で維持したいと述べ、EU単一市場へのアクセスを維持する可能性を示唆していた。
しかし、英国とEUの間で結ばれる合意の条件はまったく決まっておらず、2016年10月までに英国がEUに対し離脱を通達するかどうかすら分かっていない。また、EU単一市場への参入には、英国へのEU労働者の自由な出入国が条件となるが、離脱に投票した人たちがこれにどう反応するかという問題も残っている。ドイツの政治家であり、同国のMerkel首相の盟友であるMichael Fuchs氏も、単一市場への参入のコストは、英国がEU離脱で得られるメリットを上回るものになるだろうと述べている。
Gartnerは英国企業のCIOに対し、変化の可能性に備えて、重要なスタッフに援助やボーナスを提示し、引き続き英国内で勤務を続けるよう引き止めることや、従業員に対して投票結果の影響を説明すること、離脱による規制の変化に対応するためのワーキンググループを設置することを推奨している。
この記事は海外CBS Interactive発の記事を朝日インタラクティブが日本向けに編集したものです。