創業40年の「おこわ」専門店の米八グループ(東京都武蔵野市)は、全グループ会社の経営基盤にSaaS型の統合基幹業務システム(ERP)を採用し、稼働を開始させた。日本オラクルが6月30日に発表した。
米八は、国産もち米と四季の旬な素材を生かしたおこわやお弁当を各店舗で職人が一貫して丁寧に手作りを届けることで高い評価を得ているという。現在ではグループ全体で従業員850人規模、全国の百貨店の食料品売り場や駅構内商業施設、高速道路サービスエリアなど全国に104店舗を展開し、ECにも乗り出している。
同社の店舗では、これまで職人が各店舗の店長を務め、勘と経験をもとに日々の品揃えや仕入れを行っていた。売り上げデータは各店舗からファクスで収集し、本社で表計算ソフトに入力後、経営層に報告していた。
このような状況に対し米八は「お客様に最良のおこわを安くご提供する」との目標で事業拡大を目指す中で利益向上に向けて原価と在庫の予実管理を強化する仕組みを検討していたという。店舗の売り上げや活動を可視化し、経営判断をより迅速に、コストを抑えたオペレーションを進めるため、全社でのITを活用した情報管理基盤を整備することにした。
こうした背景から「Oracle Enterprise Resource Planning(ERP) Cloud」の採用を決めた。以下のような点を評価したという。
- 特別なトレーニングなどがなくても、複数店舗の詳細な売上情報をリアルタイムに一元的にデータ管理でき、商品別、時間別、地域別、出店形式別などさまざまな切り口で原価や利益を分析できる仕組み
- ERP Cloudに付属する社内SNS「Oracle Social Network」による容易な社内情報共有の仕組み
- 短期かつ容易に導入可能なクラウドサービスであり、モバイル端末に対応しているため、追加の開発工数が不要である点
そしてERP Cloud活用で店舗ごとにおこわや弁当などの品目単位での売り上げデータをリアルタイムに把握できるようになり、原価や在庫と組み合わせて多軸で分析できるようになったという。全104店舗にモバイル端末を配布し、各店舗は、他店舗の売り上げや在庫、利益の推移もリアルタイムに把握でき、店舗間の競争意識を高めることに成功しているという。
Oracle Social Networkで各店舗の陳列や弁当の盛り付けなどのアイデアや成功事例を共有することで、全店舗の売上向上と販売促進に向けた施策の強化にも貢献している。同社は今後、マルチチャネルでの販売展開も視野に入れており、ウェブサイトからの受注データを取り組むなど、ERP Cloudを中核にした事業拡張戦略も視野に入れていると説明している。