日本株の戻りが鈍いのは、円高圧力が消えていないため
世界の金融市場がブレグジット・ショックから立ち直っても、日本株の戻りは鈍いままだ。円高圧力が消えていないからだ。6月の大幅な円高には、3つの理由がある。米利上げなし、日銀の追加緩和なし、ブレグジット可決の3つだ。
ブレグジット可決ショックから立ち直ってきても、日米金融政策の現状は変わっていない。6月に続いて7月も米利上げがなく、日銀追加緩和がないと、円高トライが続く可能性もある。
そのことを考えるために、まず、6月のドル円為替レートの動きを振り返ってみよう。
ドル円為替レートの動き:2016年5月30日~7月1日

(注:楽天証券経済研究所が作成)
グラフ内の(1)~(5)の動きを説明しよう。
- 米雇用統計ショック(5月の米雇用統計が弱かった):6月の米利上げなしを織り込む
- 日銀ゼロ回答ショック:日銀が追加緩和を見送る
- 残留派の女性議員が殺害されたことを受け、ブレグジット否決の期待が広がる
- ブラックフライデー(ブレグジット可決ショック)
- ブレグジット可決ショックから徐々に立ち直り
6月のドル円為替はブレグジット・ショックという波乱で円高が進んだ面もあるが、それがなくても、円高が進んだものと思われる。米利上げがなく、日銀の追加緩和がなければ、円高への圧力は払拭できない。
今週の最大の注目は、7月8日発表の米雇用統計
7月8日に6月の米雇用統計が発表される。5月の雇用統計(非農業部門雇用者数)が弱く、ネガティブ・サプライズだったために、6月の利上げはなかった。6月の米雇用に改善が見られるかが注目される。
さらに、7月26、27日のFOMC(米金融政策決定会合)および、7月28、29日の日銀金融政策決定会合への注目が高まっている。
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