マルチクラウドが混在した環境もシンプルに管理、可視化も強化
「ネットワークは長い間、メインフレームと同じ垂直統合型のモデルであり続けた。クラウドの時代になり、コンピュートやストレージと同様に、すべてをソフトウェアで定義できるようになった。ハードウェアは単にキャパシティのプールを提供するものになった。システムのブループリント(青写真)を作っておけば、いつでも用意に再現できる」。Guido氏は、VMware NSXの意義をこう説く。
現在では、サーバ仮想化ソフトの上で動作する仮想スイッチが、スイッチ、ルータ、ファイアウォール、負荷分散装置などの機能を提供し、仮想マシン間の通信を制御している。サーバ仮想化ソフトの運用管理機能などからファイアウォールのポリシーなどを変更できる。さらに、L2のフレームをL3でカプセル化するVXLANのようなプロトコルによって、異なるデータセンターにまたがってL2ネットワークを延伸するといった使い方ができるようになっている。
VMware NSXは、マルチクラウドが混在した環境をシンプルに管理することにも注力している。多くのユーザーは現在、VMwareのプライベートクラウドに加えて、AWSやAzure、SoftLayerなどのパブリッククラウドを混在させて使っているからだ。「レガシーシステムのように、それぞれのクラウドがサイロ化している。VMware NSXはこの問題を解決しようとしている」(Guido氏)。
例えば、VMware NSX対応ソフトをそれぞれのクラウド上の仮想マシンで動作させることによって、複数のクウウドをまたがったL2ネットワークを実現できる。
Guido氏は、VMware NSXに関する最近の動向も紹介した。6月に買収することを発表したArkin Netは、NetFlow情報の収集やパケットキャプチャなどによって、トラフィックの状況を分かりやすく可視化するソフトを提供する。例えば、あたかもtracerouteのGUIバージョンであるかのように、ホストやゲートウェイがどんな通信をどんな順番でしたのかといった流れを動画で可視化できる。
Arkin Netのトラフィック可視化ツールの画面例。ホストやゲートウェイ間の通信の流れを動画で可視化できる