日本株展望

ブレグジット不安は緩和--次の焦点は米大統領選

ZDNet Japan Staff 2016年07月06日 11時11分

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 7月5日の日経平均は、前日比106円安の1万5669円だった。Brexit(ブレグジット=英国のEU離脱)の不安はいったん和らいだが、円高圧力が依然消えていないことから日経平均の上値は重いままだ。また、ブレグジット不安の次に米大統領選の不安が残っていることも相場の重石となっている。

 今回は、ブレグジット不安が緩和した背景と米大統領選の不安について、楽天証券経済研究所長兼チーフストラテジストの窪田真之氏の見解を紹介する。

英国は本当にEUを離脱するのか?

 6月23日に実施された英国民投票でブレグジット実施が賛成51.9%で決まった。ところが、英国では、すぐにもEU離脱の手続きを開始する機運が盛り上がっていない。

 英国民に「Regrexit(リグレジット)」(離脱を決めたことへの後悔)という言葉が広がっていることに象徴されるように、離脱決定を歓喜するムードは広がっていない。離脱派の政治家が語っていた話に誇張が多かったことがわかり、離脱に投票したことを後悔する国民も増えている。

 過激な演説で英国民を煽り、離脱派を勝利に導いたボリス・ジョンソン前ロンドン市長やナイジェル・ファラージ英独立党党首が不正確なデータに基づいてEUを批判していたことがわかり、両者に批判が集まっている。そうした空気を察知してか、両者とも早々にEU離脱問題の最前線から退くことを表明している。

 ジョンソン氏は当然、辞任を表明したキャメロン首相の後を狙って、英保守党の党首選に出るものと思われていたが、党首選には出ないと表明した。ファラージ氏は、独立党党首を辞任する意向を表明し、「自らの役割は終わった」と話した。離脱派の中心人物があっさり前線から退くのを見て離脱派に動揺が広がっている。

 英国はいつEUに離脱を通告するのだろうか? わざわざ国民投票まで実施したのだから、本来ならば英国は投票結果に従い、速やかに離脱手続きを開始しなければならない。ところが、それができなくなっている。

 国民投票の結果に法的拘束力はない。2015年7月にギリシャで行われた国民投票では、チプラス首相が投票結果と逆の選択をした。民主主義発祥の地である英国で、さすがに国民投票の結果を無視することはできないだろう。

 ただ、EU離脱は賛成51.9%、反対48.1%と僅差の可決だった。僅差だっただけに、EU離脱の条件交渉では、英国は離脱派と残留派両方の意見を踏まえて交渉しなければならない。

 離脱派の考えだけで交渉を進めると、残留派が多数だったスコットランドや北アイルランドで英国からの独立運動が強まるリスクがある。同じく、残留派が多数のロンドン市ですら「英国から独立すべき」との声が出ている。拙速な離脱交渉は英国分裂の危機を高める。

 だからといって、残留派の意見を重視しながら、EUとの離脱交渉を進めるわけにもいかない。それでは、離脱派の不満を抑えることができない。英国は、EUとの離脱交渉の席で何を主張すべきか自ら決められない自縄自縛に陥っている。

 EUからの離脱プロセスを定めるリスボン条約50条では、英政府がEUに離脱を通告してから、離脱の条件交渉を始めると規定されている。離脱通告後、最低2年間は現状が維持される。その間、離脱の条件を英国とEUで話し合う。

 とても難しい交渉で交渉は長期化が予想される。交渉を開始してから2年経っても話し合いがまとまらず交渉期間の延長が合意されない場合は、その時点で英国へのEU法の適用が停止される。そうなると、英国とEUはともに深刻なダメージを受ける。

 そうならないように現状維持が保証されている2年間で、英国離脱後の英国とEUが受けるダメージを最小にするような条件交渉をまとめなければならない。

 英政府には、すぐに離脱を通告してしまっていいか迷いがある。離脱を通告しないで、事前にEUと内々に交渉したいとの気持ちがあるが、EUは事前交渉には一斉応じないと英国に通告している。英政府は、英国の世論がこれからどう変化するか、しばらく様子見しながら考えざるを得ない。

 そうなると、離脱通告に何カ月もかかり、さらに通告してから2年間で交渉がまとまらず、そのまま何年も延長交渉が続く可能性も否定できなくなる。英国のEU離脱交渉には5~10年かかるという説も現実味を帯びてくる。

 この問題は、世界の金融市場にとって延々と続く不安材料となるだろう。ただし、今すぐに世界経済にダメージを及ぼすとか、世界の金融危機を誘発するということはない。すぐ世界経済にダメージが及ぶというイメージから6月24日は世界の株が同時に急落したが、短期的なショックについては過剰な悲観だったことがわかり、世界の金融市場は落ち着きを取り戻した。

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